■会計
企業会計基準委員会がリース会計の検討を再開


 企業会計基準委員会(ASBJ 委員長:斎藤静樹明治学院大学教授)は、第90回本委員会において、所有権移転外ファイナンス・リースの例外処理規定廃止に関する検討テーマの今後の進め方について審議を行った。
 すでに8月26日の第87回本委員会において、中断されていた審議を再開する方針が明らかにされており、今回は第1回目の審議となる。
 ASBJからの要請を受けて「リース会計実務研究会」を設置し、検討を進めていたリース事業協会では、今年の3月に、所有権移転外ファイナンス・リース取引の会計処理としてとり得る三つの考え方として以下の3とおりの考え方を示した。
・ 別記A:「リース債務」計上、損益計算書上「賃貸借処理」
・ 別記B:リースを「使用権」の売買とみる会計処理
・ 別記C:個別財務諸表と連結財務諸表とで異なる会計処理を行う
 同時に、現行の「リース会計基準」がリース取引の経済的実質を最も適切に開示するものであると報告し、現行規定の維持を改めて求めている。
 8月26日の本委員会において、審議を再開することでは合意に至ったものの、「現行基準の原則法(売買取引に準じた会計処理)に一本化することを念頭において審議を進める」との提案に対して、慎重な対応を求める意見やサイド審議を求める意見も出されていた。
 このうち、「売買取引に準じた処理の具体的な内容が分からないと判断がつきにくい」と、具体的な内容の説明が求められた点について、事務局側は、「売買取引に準じた会計処理」において最低限満たされるべき要件は、借手は「リース資産の計上及びその償却、リース債務の計上」、貸手は「リース資産の譲渡及びリース債権の計上であるとして、その論点を下記のように示している。

◎ 借手における論点の例
(1) 会計処理関連事項
@ リース資産及びリース負債の計上方法
・ リース料総額の割引現在価値(又は割引前金額)
・ 貸手の購入価額
・ 見積現金購入価額
A リース資産の償却
 償却方法
・ 自己の所有している固定資産と同様の償却方法
・ リース資産については、自己の所有している固定資産と異なる償却方法(定額法、級数法等)を設定可能(JICPA現行実務指針)
 償却年数
・ リース期間(実務指針の方法)
・ 物件の耐用年数
→物件そのものの譲渡と考えるか、使用権の設定と考えるか
→リース事業協会「考え方B」に関連する
B リース負債の処理
当初にリース資産・負債をリース料総額で計上した場合
・ 損益は生じない
当初にリース資産・負債をリース料総額の現在価値で計上した場合
・ リース料総額とリース資産の差額(利息相当額)をリース期間にわたり、利息法で費用計上(実務指針の方法)
・ リース料総額とリース資産の差額を、リース期間にわたり、定額で費用計上
C 費用配分のあり方
・ 利息相当額をリース期間にわたり逓減的に計上する方法(実務指針の方法)
・ リース期間にわたり定額的に費用計上する方法
→リースが複合的な性格を有する中で、金額的な側面を重視するか、借手が資産の使
 用に必要なコストを定額のキャッシュフローとして確定する点を重視するか、とい
 う問題に関連する
→リースの借手の利用意思をどのように考慮するか
→リース事業協会「考え方A」に関連する
(2) 重要性関連事項
・ 中小規模の企業に対する簡便法の検討
・ 少額資産等に対する簡便法の検討

◎ 貸手における論点の例
(1) 会計処理関連事項
@ リース債権の計上方法
・ リース料総額(別途 前受利息相当額を計上)
・ リース物件の購入価額(実務指針の方法)   (残存価額は便宜無視)
A 収益配分のあり方
 リース料総額は、原価部分(貸手の投資額)と収益部分に分解される。収益部分は、概念的には、販売益部分(ある場合)、利息部分、役務提供の対価部分、維持管理費用部分、その他の貸手の利益部分から構成される。
・ 収益部分を構成要素に分解せずに一括して会計処理を行うか(実務指針の方法)、若しくは構成要素に分解して各々について会計処理を行うか
・ リース期間にわたり、収益配分をどのように行うか(逓減的配分(実務指針の方法)、定額的配分、販売益部分の別途処理等)
(2) 重要性関連事項
・金額基準等による簡便法の検討