企業経営Q&A
質問
医療法の制度趣旨と主な内容について教えてください
医療法はどのような目的と内容によって定められていますか?
答え

医療法とは
 1941年(昭和16年)制定の「国民医療法」において、初めて病院と診療所の区分が明確化(病床数10床以上を病院)されました。これと同時に設立された「国民医療談」(特別法人)は、戦前の自由診療時代に医療需要の大きい都市部に集中していた医療機関の地域配置の不均衡を是正するため、公的資本を注入し、全国に多数の医療機関の開設を進めましたが、供給不足を解消するには至りませんでした。

 1945年(昭和20年)の終戦当時、医療供給体制はまさに壊滅状態であり、これを受けて新たに制定されたのが、医療法です。

 医療法は1948年(昭和23年)に交付され、その第一条で「この法律は、病院、診療所及び助産所の開設ならびに管理に関し必要な事項並びにこれらの施設の整備を推進するために必要な事項を定めること等により、医療を供給する体制の確保を図り、もつて国民の健康の保持に寄与することを目的とする」と規定されました。
 いわゆる戦後荒廃期は感染症等の急性期患者が中心だったために、医療機関の量的整備が急務とされ、医療水準の確保を図るため、病院の施設基準を整備する目的がありました。

主な内容とは
 医療法は下記の構成となっています。

第1章 総則 (第1条〜第6条)
第2章 病院、診療所及び助産所 (第7条〜第30条の2)
第2章の2 医療計画 (第30条の3〜第30条の7)
第3章 公的医療機関 (第31条〜第38条)
第4章 医療法人 (第39条〜第68条の3)
第5章 医業、歯科医業または助産師の業務等の広告 (第69条〜第71条)
第5章の2 雑則 (第71条の2〜第71条の6)
第6章 罰則 (第72条〜第77条)

<主要な条項>
第1章 総則
第1条の5 「病院および診療所の定義」
 この法律において、「病院」とは、医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場であつて、20人以上の患者を入院させるための施設を有するものをいう。病院は、傷病者が、科学的でかつ適正な診療を受けることができる便宜を与えることを主たる目的として組織され、かつ、運営されるものでなければならない。
    この法律において、「診療所」とは、医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であって、患者を入院させるための施設を有しないもの又は19人以下の患者を入院させるための施設を有するものをいう。
第2章 病院、診療所及び助産所
第7条第5項 「営利禁止規定」
 営利目的として、病院、診療所又は助産所を開設しようとする者に対しては、前項の規定にかかわらず、第1項の許可を与えないことができる。
第4章 医療法人
第54条
 「医療法人の配当禁止規定」
 医療法人は、剰余金の配当をしてはならない。

 医療法は、過去4度の大きな改正がなされ、平成18年6月に第五次医療法改正法案が参議院にて可決成立し、現在、平成19年4月施行を控えている段階です。