企業経営Q&A
質問
経営ビジョン達成型人事制度
収入確保が非常に厳しいにもかかわらず、人件費は上昇しています。また、職員のモチベーションが低いことが気になります。
経営改善の一環として、人事制度を改定したいのですが、留意点を教えて下さい。
答え
 「人」が変われば病院は変わります

 病院が取り組むべき経営改革の中身は、すべて人が行います。それも個人の裁量、能力で行えるものは限られており、そのほとんどは「チーム医療」という言葉に代表されるように、「組織」で取り組むべきものです。

 これまで漫然と経営してきた病院も、今後は自院の向かうべき方向性、取り組むべき課題を明確にし、実行する仕組みをつくる、いわば「病院理念」「経営戦略」「経営計画」が不可欠となります。

 それでは、どうすれば病院の戦略、計画がうまく運用されるのだろうか。それは他ならぬ、職員のモチベーションを高めることにあります。どんなに素晴らしい理念を掲げ、戦略を立て、計画を示したとしても、それを遂行するべき「人」が動かなければ絵に描いた餅となります。職員が戦略を理解し、計画を遂行しようとする意欲を持たせるだけの動機付けが必要です。

 では、何が職員のモチベーションを高めるのでしょうか。最も有効と思われる手段は人事制度の構築です。下図に示すように、個人が業務に対してモチベーションを高める主要な4つの要因は、全て人事制度によってコントロールされるものです。自院の職員構成に見合う人事制度を構築することで、職員個人の持つ能力は最大限に引き出されます。モチベートされた職員は、計画に沿った業務の完遂という形で個人の目標が達せされると同時に、それは組織の目標である戦略の達成、ひいてはビジョンの実現を可能にするのです。


 人事制度とは、病院が「あるべき姿」に近づくために立案された経営ビジョン達成のために、あるべき職員の役割、資質を明確にし、組織を強化させるための仕組みです。すなわち、経営ビジョン実現のための基本条件として人事制度の整備を急ぐ必要があります。