千葉県松戸市に本部を置く「税理士法人トゥモロー・ジャパン」は、松戸を中心に首都圏の顧客を主な対象として、相続税関係の案件を多く扱う会計事務所だ。法人名の「トゥモロー・ジャパン」には、「明日の日本を創造する」といった意味合いが込められている。大切な資産を次の世代へと引き継いでいく「相続」という業務を通じ、顧客にとっての"価値ある明日"を創造している。

事務所入り口の外観
税理士法人トゥモロー・ジャパンの前身である小林登税理士事務所が開設されたのは、平成8年。現在も代表社員を務める小林登先生、44歳の時である。
小林登先生は昭和27年、茨城県岩井市に生まれた。地元の県立高校を卒業後、東京国税局に勤務し、小石川や荏原、佐原、本所、柏、足立、松戸、品川等、東京国税局管内の税務署を歴任。在職中に専修大学商学部を卒業し、更に税務大学校に進学。税務大学校では資産税班に所属するなど、名実ともに資産税のスペシャリストとしてのキャリアを着実に積み重ねてきた。
　 　

　

■税理士　小林登先生
　


その後、平成8年に神田税務署を退職するまで、資産税関連の敏腕調査官として活躍してきた、まさに「資産税のスペシャリスト」ともいうべき存在である。
そんな小林登先生が同事務所を設立した経緯は、どのようなものであったのだろうか。事務所設立のきっかけは、当初、茨城県にある実家の事務所を継ぐ予定だったという。しかし、諸般の事情により、実家の事務所を告ぐことを断念することとなった。

地元での開業も考えていたが、知り合いの税理士の先生に相談したところ、「手伝ってほしい」と頼まれたことから、松戸にあるその税理士事務所に間借りするような形での開業となった。現在も松戸に拠点を構えているのも、そのような背景によるのだ。
　
元々、税務署時代より資産税を多く取扱い得意としていた小林先生であったが、一緒に業務を行うことになった事務所が、資産税案件を多く扱っていたということもあり、その後の小林登税理士事務所が相続の特化へと歩んでいったのは、必然的ななりゆきであったといえるのではないだろうか。

税理士として独立し、順調に顧問先を増やしていった小林先生だが、平成10年に出版した1冊の本が、小林登税理士事務所の相続特化を、更に推し進めることとなるのだ。
その本こそが、今や資産税に取り組む税理士のバイブル的存在である『相続税・贈与税の実務土地評価』（財団法人大蔵財務協会）である。


■資産税に取組む税理士のバイブル　『相続税・贈与税の実務土地評価』

平成10年の初版以来、12年版、13年版、14年版、16年版、17年版、19年版とほぼ毎年のように版を重ね、現在も平成21年版の執筆依頼を受けているという。
出版のきっかけを小林登先生はこう語っている。
「当時も資産税に関しては、様々な書籍が出版されていましたが、どれも肝心のポイントが抜けているような感じがしていたんですね。だから、そういう実務上の対応について、正確に著せたらいいな、ということで書きました。」

税理士が書籍を著す目的は一般に、「名前を広め営業活動に活かす」といったことが中心になることが多い。しかし、小林登先生の場合は、「実務に役立つ情報を提供したい」という純粋な想いからの執筆であった。
税理士としてだけではなく、税務申告をチェックする立場の税務署職員としての経験から書かれたものなので、今までには無かった実用的なものとなっており、同業者からの賛同を得たのだろう。

この書籍は、小林登先生の予想をはるかに上回る好評を博し、様々なところから講演の依頼を受けるようになった。
小林先生の執筆に対する真摯な姿勢が、図らずも小林登税理士事務所の営業活動に大いに寄与する結果となったといえる。
書籍の出版をきっかけに、日本全国をセミナー講師として飛び回るようになった小林先生であったが、セミナー講師を務めるにあたっては、いつも一つの信念を胸に抱いてるのだという。

「例え同業者であっても、ノウハウの出し惜しみはしない」

この信念は当然、「セミナーの依頼は可能な限り全て受ける」といった姿勢にも結びついてくる。
本業でも多忙を極める小林先生だけに、時には北海道や九州も全て、日帰りで対応していたというから驚きだ。分刻みのスケジュールで本業とセミナー講師をこなしていた小林先生には、飛行場からセミナー会場までホバークラフトでかけつけるといったエピソードも多数あるそうだ。

■小林登先生が講師を務めるセミナーパンフレット

「はじめのうちは、ドキドキしながらやりましたね」というセミナー講師だったが、小林登先生の誠実な人柄と、持てるノウハウは全て伝えようという真摯な姿勢、そして何より税務署職員と税理士としての豊富な経験に裏打ちされた内容が評判を呼び、依頼は次から次へと舞い込んでくるようになった。

そんな中、同業者である会計事務所向けの講演の依頼も多くなっていた。同業者向けのセミナーは、ノウハウの流出を懸念して、やりたがらない税理士も多い中、小林登先生は自らの信念に従い、例え同業者向けであっても、決して手を抜かず、持てるノウハウは全て出してきたという。
また、セミナーも回数を重ねると、内容が重複し、マンネリ化せざるを得ないものだが、小林登先生は繰り返しセミナーを受講してくれる先生方のことも考慮し、常に最新の情報を提供することを念頭に置いてきたという。

すると思わぬ効果が表れ始めた。金融機関などが、知り合いの税理士に対して、「相続に詳しい税理士を紹介してくれ」と頼んだ際に、頻繁に小林登先生の名前が上がり始めたのだ。同業者である税理士が言うことなので、信憑性は抜群である。またたく間に、金融機関との接点も増え始めた。同業者に対して、誠実にノウハウを公開し続けたことが、逆に同業者からの厚い信頼を獲得し、その噂を聞きつけた金融機関から、同事務所に対してアプローチしてくるようになったのだ。

平成17年5月、小林登先生は、これまで個人の事務所であった「小林登税理士事務所」から、「税理士法人トゥモロー・ジャパン」へと改称し、税理士法人化を行った。税理士法人化について、小林登先生はこう語っている。「税理士法人化は、支店展開をにらんで行ったことですが、トゥモロー・ジャパンの名の下、それぞれのスタッフが中心になって、責任ある仕事を行う。社名には、そうした意味合いも含んでいます。また、より相続案件に特化する目的もありました。」税理士法人となることで、個人では対応の難しい大きな相続案件についても、社員税理士がそれぞれの得意分野を活かして協力する事で、対応できるようになる。

「最近取り組んだ中で難しかったのは、やはり土地の評価です」と小林登先生は語る。特に区画整理の進んでおらず、境界の確定が不明瞭な古い町並みの残る土地は、形状も複雑で評価が難しいという。こういったケースでは、評価によっては億単位で相続税額が異なってくる場合もあるため、税理士法人の責任も重大となってくる。

「まず現地に行って実際に見てみます。そして経験に照らし、通達に基づき算出した評価額が適正価格かどうかを判断します。この評価額が適正時価をあらわせていない場合は他に方法がないか検討し、ケースによっては鑑定を依頼します。」また、より重要な問題となるのは、相続人同士の人間関係だそうだ。

「相続で一番難しいのは相続人同士の人間関係が破綻している場合です。このような場合は同じ場に集まっての話し合いができない、など多くの問題が残されています。これら一つ一つを解決して、相続税申告書にまとめあげていく作業は非常にやりがいのある仕事です」このような事態に対して、税理士法人トゥモロー・ジャパンでは、相続の問題を次の４つのポイントに集約し、現実的に対処することを心掛けているそうだ。

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「家制度はまだまだ残っていると思わされる事例もあります。資産を次代に承継させることを望むのならば、残される者の苦労を少しでも取り除き、資産を最善の形で守る必要があります。それには生前の相続対策は絶対に必要です」 こう語る小林登先生の相続に対する熱い想いは、この先も尽きることはないだろう。