『決算業務規定』を策定する目的は、大きく以下の3点になります。

(1)決算業務における注意点に関し職員に気付きを与えミスを防ぐため
(2)適正な決算業務を通じて税務申告におけるリスクを予防するため
(3)適正な決算書の作成により利害関係者への正確な報告を保証するため

(1)決算業務における注意点に関し職員に気付きを与えミスを防ぐため
『決算業務規定』を策定する目的の一つは、決算業務において注意しなければならないポイントについて、職員に気付きを与え、ミスを防止するためです。
決算業務には、注意すべき点が多くあります。これらについて、職員の知識や経験、スキルに任せきりにしていた場合、ミスやトラブルが度々発生してしまうことになります。
そこで、これら注意を要すべき点について、予め『決算業務規定』としてまとめておくことで、このようなミスを抑止することができます。特に以下の項目については必ず押さえておくべきでしょう。

決算方針の決定と確認会計基準の確認及び妥当性の確認
正確な期間損益の算定における確認ポイント貸借対照表科目における留意点     等々

(2)適正な決算業務を通じて税務申告におけるリスクを予防するため
『決算業務規定』を策定するもう一つの目的は、適正な決算業務を行うことで、税務申告における過大納付や過少申告といったリスクを回避することです。
決算書には様々な目的がありますが、会計事務所にとって最も重要なのが、税務申告業務です。誤った税務申告が、税務調査等で発覚した場合、多額の追徴課税等が発生する可能性があります。この場合、事務所に対して損害賠償請求がなされることも十分考えられるため、税務申告に間違いは許されません。
『決算業務規定』を策定し、それに沿って正確な決算業務を行っていくことは、税務申告で誤りを犯すリスクを回避することにもつながります。税務に関連する項目として、特に以下のポイントは外さないよう注意する必要があります。

会計基準と税務基準の違いについて
税務調整の具体的内容
税務署及び所管官庁への決算書提出における留意点

(3)適正な決算書の作成により利害関係者への正確な報告を保証するため
『決算業務規定』を策定する最後の目的は、適正な決算書を作成する事で、株主や投資家、銀行など、各ステークホルダーに対して、正確な情報を提供するためです。
各ステークホルダーは、会計事務所の作成した決算書を信用して、様々な投資や融資の判断を行います。その決算書に万一誤りがあって、そのために誤った投資や融資の判断を行ってしまった場合、投資家や銀行は多大な損失を受けることになってしまいます。会計事務所が損害賠償請求を受ける可能性もあり、決算書の作成に対する会計事務所の責任は重大だといえます。
税務への意識が強くなりがちな職員の多くは、こうしたことについては、無頓着です。「ステークホルダーへの報告」等、決算本来の目的について、職員が正しく理解し、相応の責任感を持って決算業務にあたるよう、『決算業務規定』に、以下のような決算本来の目的もしっかり記載しておく必要があります。

株主や投資家に対し投資の判断材料を提供するため
正確な税務申告を行うため
次年度以降の業績を検討するため
諸官庁への届出や申請を正確に行うため
金融機関への融資の申し込みを行うため