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会計データのチェックは、実数によるチェックと比率によるチェックに分けられます。
【実数によるチェック】 各勘定科目の異常値のチェックと前期とのデータ比較により、増減している勘定科目の内容を精査することを意味します。
・ 明らかな異常値がないか ・ 特に貸借対照表科目の残高は合っているか ・ 毎月定額で計上されているものが、きちんと計上されているか ・ 前期との比較で大きく変動している科目はないか
チェックを行った後は、なぜ異常値が出たのか、なぜ大きく数字が変動しているのか要因を解明します。つまり各数値を分解していく作業となります。
(例)収入が前期と比較して大きく減少 病棟再編、診療科目変更等の大きな改正はなかったか ⇒ 入院か外来どちらが減少したのか ⇒ 患者数か単価か
【比率によるチェック】
変動費科目、人件費他固定費科目、限界利益、営業利益、経常利益を対収入比、対限界利益比で検証することをいいます。各勘定科目を比率で表示してチェックします。
・ 変動費科目:医薬品費、診療材料費、給食材料費、検査委託費等 ・ 固定費科目:人件費、光熱費、消耗品費等 ・ 利益科目:限界利益、営業利益、経常利益等
特に変動費が増加している場合は下記を確認します。 ・ 仕入れの中に医療機械等資本的支出が混入していないか ・ 在庫が過大となっていないか
また、人件費については、労働分配率を確認します。
人件費÷限界利益=労働分配率
その上で、下記のチェックを経て、会計データの精度を向上させることにより、実績検討会や予算会議で活用することができます。 ・ 人員は増加していないか ・ 給与体系の見直しは必要か
これらのチェックを経て、会計データの精度を向上させることにより、実績検討会や予算会議で活用することができます。
また、決算データからは、財務会計的視点と管理会計的視点からのチェックが必要となります。いずれの場合においても、予算対比、前年対比は当然ながら、同規模の病医院との比較も必要です。重要なことは、決算が固まってから今後の対策を考えるのではなく、月次の試算表から問題点を抽出し、決算予想を立て、決算までに次の取り組みを立てることとし、決算確定後は微調整程度の範囲にとどめておきます。
○ 財務会計的視点 <収入> ・ 診療報酬:(入院)病床稼働率、平均在院日数、各種加算項目等 (外来)患者数、各種加算項目等 <費用> ・ 変動費:診療材料費、医薬品費、検査料、給食材料費等 ・ 固定費:人件費、福利厚生費、光熱費、通信費、消耗品費、減価償却費等 <B/S項目> ・ 流動資産:現預金、未収入金、棚卸資産、仮払金、立替金、短期貸付金 ・ 固定資産:建物・構築物、機械・車両、土地、投資、繰延資産 ・ 固定負債:長期借入金 ・ 自己資本:出資金、剰余金 <キャッシュフロー> ・ 事業活動キャッシュフロー ・ 財務キャッシュフロー ・ 投資活動キャッシュフロー ・ フローキャッシュフロー
○ 管理会計的視点 <収益性> 総資本回転率、自己資本回転率 <安全性> 流動比率、当座比率、固定長期適合率、固定比率、自己資本比率 <生産性> 一人当り付加価値額、付加価値率、資本回転率、労働分配率 |
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