税理士法人向田会計は平成21年現在、職員数15名（パート職員３名を含む）、当期売上高目標１億8,000万円を掲げる、「経営計画」を事務所の武器として確立し成長発展を遂げてきた事務所である。
群馬県桐生市、太田市、前橋市を中心に"お客様の為に行動し、共に成長・発展すること"を事務所の方針とし、桐生事務所とみどり市事務所の２拠点で活動を続ける。
同事務所は、昭和45年に前取締役会長である向田進先生によって開設された。その後平成４年に株式会社向田会計として設立、平成18年に税理士法人化して現在に至る。
向田進先生は、沼田税務署での22年間にわたる勤務を経て、昭和22年に税理士として会計事務所を開業した。開業当時、手書きの決算書が常識であったにもかかわらず、顧問先の決算書は「価値あるもの」との向田先生の考えから、タイプ打ちで決算書を作成し、顧問先から好評を博した。
このような向田先生の固定観念に囚われない柔軟な発想は、その後の事務所経営にも活かされている。
会計事務所の先陣をきってコンピュータを早期に導入し、それと共に、単なる書類の整理や作成だけではなく、顧問先の事業全般の支援ができるよう、コンサルティング業務を会計事務所の中でいち早く行ってきたのだ。

現在、事務所を牽引するのは向田靖先生だ。向田靖先生は昭和58年に向田会計事務所に入所、平成元年に税理士登録をおこない、平成４年に株式会社向田会計事務所の代表取締役として就任した。平成10年に行政書士資格、次いで平成15年には医業経営コンサルタント資格を取得した。
常に顧問先に対し提供できるサービスの幅を広げるべく、活動にまい進する向田靖先生は、「未来会計」に力を入れて業務に取り組んでいるという。
未来会計とは「企業の５ヶ年経営計画・単年度経営計画策定支援により、顧問先と"今"を見つめ直し、"未来"を切り開く先見経営」を指す。そしてこの取り組みこそ、同事務所がその専門性を確立し、事務所の成長発展を支えてきた「経営計画」なのである。


税理士法人　向田会計事務所　外観

税理士法人向田会計では、顧問先の経営サポートのために経営計画策定を重視した活動を進めている。
経営計画の策定支援業務については、顧問先の経営者を中心として、定期的に「将軍の日（中期経営計画策定教室）」を開催している。
代表社員の向田靖先生は、経営者の最も大切な仕事は、自社のビジョンを描くことであるという。そのためには経営者自らが、自社の強みや課題を整理し、経営理念や経営目標を踏まえて、今後どのような分野で勝負するかを「中期経営計画」として定めることが必要であると説く。
自分たちがやっていることでなければ、顧問先にその必要性を伝えることはできないという考えのもと、同事務所では自事務所の経営計画も策定している。経営計画の必要性を深く認識しているため、同事務所はＭＡＳ業務の柱として、経営計画の策定を事務所の売りにしたのである。

■向田会計事務所作成 経営計画書

「１年365日。残りの364日を有効に過ごすために、たった１日、じっくりと自社の経営を見直して見ませんか？　そして、５年後の会社の未来像をグラフや数値で具体的に表してみませんか？」
　
これは経営者のための中期経営計画策定教室、「将軍の日」の参加者を募るためのキャッチコピーである。
「将軍の日」では、少人数限定の実習方式によって、わずか１日で５年間の行動計画（戦略）と数値計画の作成を行う。この企画は同事務所との顧問契約を結んでいなくても参加が可能なものだ。
１日という短い時間の中でも、自社の強みと課題を整理した上で、経営理念や経営目標、事業ドメイン等の重点事項をしっかりと盛り込んでいる。
そして最も重要なことは、参加した経営者が「会社の経営と真正面から向かい合い、未来を考える」ことを促す点である。
「将軍の日」は平成15年４月よりスタートし、以後毎月開催されている。参加者からの評判も好評で、毎回多くの経営者が参加して大盛況を収めている。
また、金融機関からも「将軍の日」において作成された計画書は大変評判が良く、現在は、金融機関から参加企業を紹介してもらえるケースも多いという。

■「将軍の日」タイムスケジュール

9時30分　オープニング
 スケジュール確認・連絡事項等／参加者自己紹介／代表者あいさつ

9時40分　「経営計画の目的」と「経営計画の実践手順」
ビデオによる「経営計画の目的と実践手順」の学習

10時10分　実習1　　自社分析（販売力分析・体力分析・管理力分析）
「販売力分析・体力分析・管理力分析」の各質問項目に対して、５段階評価で入力し、経営環境分析を基に自社の強み・弱みを分析する

11時00分　実習2　　経営理念・中期経営目標の設定
 実習1の結果を基に、経営理念・中期経営目標及び経営戦略を練る
12時00分　昼食

13時00分　実習3　　5カ年数値目標の設定・5カ年数値目標の確認・修正
基本数値目標を設定し、キャッシュフローを基に問題・課題を抽出し、問題・課題をカバーする修正案を練る（修正目標設定）

16時00分　実習4　　経営課題の抽出・翌１カ年経営目標及び行動計画の確立
５年計画における経営課題を明確にします。経営課題を基に初年度の経営目標を更に明確化し、これに伴う行動計画を十分に練ります。

17時30分　まとめ
先見経営・先行管理の重要性について

17時50分　プログラム終了のあいさつ
アンケート記入

「将軍の日」開催風景

向田税理士法人では顧問先の決算書から決算診断を実施し、その内容を踏まえた翌期の計画立案については、「軍議の日（単年度経営計画策定教室）」を開催せずに、事務所側が必ず「単年度経営計画」を作成し提供している。
「単年度経営計画」の策定内容の精度や信頼性を左右してくるのが、毎月の巡回監査時に顧問先へ提供している、"月次決算書"（試算表）であろう。
未だに顧問先に対して、試算表を適切に提供できていない会計事務所が多いといわれている中、同事務所では月次監査を行なうことの意義や月次決算書の必要性を強く感じており、かなり以前から、巡回監査時における月次決算書の提供を行ってきた。
その意図には、顧問先の経営者に対して、計数管理の重要性や面白さを体験して欲しいという、向田先生の強い思いがあるからだ。

■向田税理士法人作成 月次決算書

同事務所では、自事務所の経営計画を策定し始めてから、既に15年が経過している。経営計画策定サービスを提供している他の会計事務所と比較をしても、かなり初期の段階から取り組んでいたことになる。
経営計画の策定は顧問先だけではなく、会計事務所にも必要なものであるという認識から、事務所全体で策定に取り組んでいるのだ。
同事務所の経営計画は所長が一人で策定し職員に指示を与えるのではなく、行動計画や今期の施策など、職員から自発的に計画があがってくる仕組みができあがっており、職員全員で策定している。
向田先生は、毎週の営業会議の中で経営計画に対しての達成度をチェックし、方向性を指示しているだけなのだ。
同事務所は自事務所の経営計画を、長年に渡り全職員によって策定してきているため、経営計画策定に対するノウハウの蓄積ができている。その裏付けがあってこそ、同事務所は、経営計画を事務所の売りとして大きな成功を収めることができたのだ。
経営難から本気で脱したいと思っている企業は、自社の経営上の問題を解決へと導いてくれる会計事務所を求めており、前向きな経営者ほどその意欲は事情に強い。
経営計画を通して、顧問先の経営を真剣に考えてくれるという、同事務所の取り組みが広く認められ、金融機関や企業側から、同事務所を求めてくるようになったのだ。