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1-2 評価項目の着眼点と評価の進め方
1  第三者評価を効果的に活かす10のポイント
(1)準備段階の心得
第三者評価の取り組みが経営層だけであったり、訪問調査の日だけ対応するのであったりしては、受審を効果的に活用できません。

第三者評価は、事前準備の出来次第で決まると言ってよい程重要な鉄則になります。

第三者評価における事前準備には様々なことがあります。漠然と見えない中での帳票類の整備や評価対応担当者を決める等様々なことに取り組んでいる施設があります。準備しないで臨むよりは良いのですが、いたずらに手間を掛けるだけになっている施設があるのも事実です。

それでは受審を活用している施設が何を行っているかというと、事前準備に自己評価をしっかり行っています。とうきょう福祉ナビゲーションに公開されている調査票を入手し、自己評価を実施することで、より良い受審へとつなげています。また、自己評価を通して施設の不足帳票類を整える事により、無駄な作業を増やすことなく、訪問調査日をむかえています。

■自己評価に取り組む意義
組織運営やサービスの質を見直すことによって新たな気づきを得られる。
事業者全体でサービスの質の向上に取り組むきっかけを得られる。

■自己評価実施のポイント
経営層だけ実施せず、多くの職員を巻き込む。(鉄則9へつながる)
スケジュールを決め、計画的に取り組む。

◆事例紹介
O区 K保育園
~第三者評価事前勉強会開催し受審を通して多くの気付きを得た事例~
K保育園の園長が先導役となり、秋の第三者評価受審に向けて、春から勉強会を毎月1回実施する事になりました。勉強会当初は、「何で第三者評価のために」や「園長だけでやれば」というような雰囲気もありました。しかし、職員全員で第三者評価に取り組む姿勢を園長が崩さず、勉強会を継続していきました。勉強会の中身は、自己評価を中心に行う中で、評価項目の意図であったり、各カテゴリーに職員を割り振り責任をもって、帳票類を整備したりしました。その後受審も終え、報告会の頃には、職員から「勉強会やって良かった」「評価項目の意味がようやくわかりました」という声が上がるようになりました。これまでただ選択して出していた職員アンケートにも意味を見出し、受審を通して多くの気付きを得る結果となりました。

(2)利用者調査の回収率を高める
サービス種別により利用者調査は、直接ヒアリング方式のところもあります。この鉄則における利用者調査の回収率を高める対象とは、アンケート方式を採用する事業所への話になります。

特にアンケート方式で回収率の低さに課題を感じているのが、保育所になります。保育所の保護者の場合、0歳児から預けていると卒園まで5回ほど利用者調査を回答する形になります。入園したてのころは回答していた調査票も3歳児、4歳児の頃は書かず、年長になりこれまでの思いをぶつけてくる、そのような保護者がいらっしゃるのも事実としてある話です。

停滞している回収率をいかにして高めるか、取り組み事例を交えて確認していきます。

■利用者調査の回収率向上のポイント
案内文添付
回収箱

案内文添付
簡単ですが、意外と効果を発揮するのが、案内文添付です。園だよりにアンケート実施等々小さく載せている保育所もありますが、案内文とセットでアンケートを配布することで、回収率が高まります。
近年の利用者調査は、何か保育所に対して言いたいことがある方だけが回答するものとの認識もあるようなので、改めて「より良い保育所にするため、多くの方から・・」と表記することが重要です。
保育所独自で準備するのも一つの案ですが、実施する評価機関の担当者に声を掛け、作成してもらう方法もあります。詳しくは、実施の評価機関へお問い合わせください。

回収箱
アンケートの回収方式には大きく2つあります。
①保育所での回収と②直接評価機関へ郵便投函方式の2つです。回収率を高めるのであれば、①の保育所での回収方式をお薦めします。「園で開封されるのでは?」等の声が回収後の調査票に記入してあることもありますが、先に紹介した案内文に「開封は評価機関が責任をもって・・・」という文言を付けることにより、それらの声も減少していきます。
保育所で回収する場合、どの保育所でもご意見箱を常備しているので、それと兼務した箱か、評価機関が用意した回収箱や特設の箱など専用の回収箱を用意することになります。
なるべくわかりやすい所に置き、声掛けも合わせてご協力頂いていますが、なかなか回収率が向上しないのが現状ではないでしょうか。これまで私どもも同じような状況でしたが、箱を変えることにより回収率が大幅にアップすることが確認できています(※諸要因も勘案する必要あり)。

◆使用する箱
使用する箱


上記の箱が、回収率向上につながった箱になります。
ポイントは「透明」という点です。
透明であることから、回収数の状況がわかり、それを見た保護者も回答するという連鎖が起こり、回収率が高まっていきます。

◆使用後回収率実績例
使用前回収率 使用後回収率 改善効果
50% 75% 25ポイント上昇
78% 91.7% 約14ポイント上昇
69% 79.7% 約11ポイント上昇

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(3)職員アンケートで本音を探る
事業評価における調査対象は、利用者や経営層の他、職員も調査対象になっています。職員調査票の回答は選択式が大半を占めますが、記述式の項目も用意されています。

◆職員アンケート記述部抜粋
アンケート抜粋

こちらへの回答は、職員向けに行う事前説明会で実施評価機関の協力を得ながら、記述回答を促すように話してもらうと良いでしょう。普段から個人面談等で職員の意向を把握している事業所でも、職員の匿名による意向把握を実施しているところは皆無に近い状態です。この職員アンケートを活用し、職員の本音および職員間の関係良否を浮き彫りにすることも可能です。

◆事例紹介
K市 特養他
~非正規職員を含め、職員アンケートを全職員へ配布~
職員アンケートの実施対象は、機構からは明確に定義されていません。K市にある数施設展開する法人では、「働く時間は短くとも、施設の重要な役割を担っているので是非とも意向を把握したい」との経営層の判断から、全職員を対象に実施しました。予想されたことではありますが、理念の浸透など重要部に関して非正規職員の認識度は低い結果となりました。しかし、経営層の思惑通り、記述欄に非正規職員の方々から多くの意見・要望などが寄せられました。その中で浮き彫りになってきたのは、ある時間帯以降の連絡体制不備でした。リーダー層もうまくいっていると思っていた点を指摘され、素直に認めることは出来ませんでした。しかし、意識して調整していくと、業務がこれまでよりスムーズに流れ、業務改善につながる結果となりました。

(4)事業プロフィールはPR書
事業評価における自己評価は、事前の重要実施項目です。この自己評価には出来る限り多くの職員を関わらせることがポイントでした。鉄則の4番に紹介する事業プロフィールに関しては、基本的に経営層の方が記入する形になります。
事業プロフィールは施設規模等形式的な面が多いので、重要視していない経営層の方が多いですが、評価調査員にアピールする項目が多くあります。特に事業プロフィールⅡに関しては、特に注意を払って記入する必要があります。
実際に、評価調査員は、このプロフィール情報を重要視しています。訪問調査時や報告書作成時の貴重な情報源としています。

◆事業プロフィルⅡ(評価実施に必要な情報)
理念・方針(関連「カテゴリー1 リーダーシップと意思決定」)
事業者が大切にしている考え(事業者の理念・ビジョン・使命など)のうち、特に重要なもの(上位5つ程度)を簡潔に記述

サービス提供の考え方について記述
日々の業務の考え方、利用者ニーズに合わせた施設独自の取り組み、利用者や家族との関係、地域との関係を含む (関連「カテゴリー6 サービス提供のプロセス」)

期待する職員像(関連「カテゴリー5 職員と組織の能力向上」)
(1)職員に求めている人材像や役割
(2)職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)

現在のサービス提供能力と利用者数(関連「カテゴリー6 サービス提供のプロセス」)
(以下のどれかに○をつける)
(1)サービスを希望しながら待っている人(事業所に登録している待機者)がかなりいる
(2)ほぼサービス提供能力に見合った利用者数で、待っている人はほとんどいない
  (ほぼ定員を満たしている)
(3)サービス提供能力に余力があり、希望者があれば受け入れたい
(4)その他(                                                                  )

3年後の見通し(関連「カテゴリー4 計画の策定と着実な実行」
「カテゴリー3 利用者の意向や地域・事業環境などの把握と活用」)

(以下、〔契約による利用〕、〔措置など契約以外による利用〕のどちらかを選んだうえで、一つに○をつける)

〔契約による利用〕
(1)利用者数の増加を見込んでサービス提供能力を拡大する計画がある
(2)サービス提供能力を拡大する計画はないが、ほぼ現在のサービス提供能力に見合う利用者数
     は維持できると思う
(3)現在の利用者数を維持するのは、経営改善・サービス改善をしていかないとかなり難しい情勢
     になっているのではないかと思う
(4)その他(                     )

〔措置など契約以外による利用〕
(1)施設規模の拡大または新たなサービス提供を行う計画がある
(2)現在の施設規模、サービス提供能力を維持する方向で考えている
(3)現在のサービス提供能力を維持するのは、経営改善・サービス改善をしていかないとかなり難
     しい情勢になっているのではないかと思う

評価対象のサービス事業に関して事業者として力を入れて取り組んでいる点を、人的サービス面と設備面に分けて、重要な順に各3つ以内で記述 (関連「カテゴリー4 計画の策定と着実な実行」)

当事業の開始時から現在までの重要な変遷(制度改正に基づくもの含む)

経営に影響を与えると考えている事業環境の変化を記述(制度改正を含む)
(関連「カテゴリー3 利用者の意向や地域・事業環境などの把握と活用」
「カテゴリー4 計画の策定と着実な実行」)

評価対象としているサービス事業を維持・向上させていくためにこれから何をしていかなければならないかについて、重要な順に3つ以内で記述 (関連「カテゴリー4 計画の策定と着実な実行」)

10  評価を実施するにあたり、評価機関に知っていて欲しいこと(経営層が考えていること、利用者の状況、職員の状況など)を自由にご記入ください。

これらの項目に丁寧に記述することにより、評価調査員に事業所の取り組みをより良く知ってもらう可能性が高まります。訪問調査を充実させるためにも手間を惜しまず、事業所のPR書という位置付けで作成して下さい。

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(5)中間報告の活用
事業所の自己評価や利用者調査の調査票の回収、ヒアリング等が終了すると回答結果を集計・分析に入ります。そして、訪問調査の前に事業所にフィードバックされていきます。そのフィードバックする際に評価機関から提出される書類のことを中間報告書と呼んでいます。どの経営層も利用者の要望、職員からの意見を中心に非常に高い関心を寄せ、読み込んでいます。
なお、中間報告書の書式は統一されたものは無く、各評価機関独自に作成したものが提出されます。

■中間報告書 サンプル
中間報告


◆活用事例
 ・単年度だけなく、経年変化で利用者の傾向をつかむ(上図参照)
 ・一法人多施設の場合の比較分析(下図参照)

活用事例

(6)訪問調査への過剰反応をなくす
訪問調査に関して過剰反応している方を時々見受けます。一概にはいえませんが、第三者評価と指導監査を同一視していることがその要因の一つになっています。
第三者評価と指導監査は目指す所が違います。過剰反応を低減するためにも相違を確認しておきます。

■第三者評価と指導監査
  第三者評価 指導監査
目 的 評価項目を通した気付きで、サービスの質の向上につなげる。 最低基準等、関係の法令の遵守の確認をする。

そもそも、指導監査は最低基準を満たしているかどうかであり、第三者評価は質の向上を図るために実施するものという目的自身が異なっています。

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(7)訪問調査当日の心得
実際の評価は、1日という限られた時間の中で行われます。
そのため、出来るだけ正確な評価を行ってもらい、施設改善の機会とするためには、評価を受ける事業者側も、効率的な評価が行われるよう配慮する必要があります。

■訪問調査当日のポイント
カテゴリーごとに担当者を明確にしておく
標準項目の確認に使用する資料を予め準備しておく
重点的に見てほしい分野をピックアップしておく


カテゴリーごとに担当者を明確にしておく
評価調査員の質問に対し、「その件は誰々でないと、分かりません」といって、その都度担当者を探しに行くケースが見られます。
評価調査員の側も全ての質問を同じ重みでもって聞いているわけではありません。まずは大きな質問から、徐々にあたりをつけていき、核心へ迫っていく、といった手法をとります。そのため、大きな質問の段階で、これをやってしまうと、せっかく担当者を呼んできて聞いてはみたものの、特に問題もなかったため、そのままお引き取りいただくことになり、呼びに行く手間や待っていた時間が無駄になってしまうことになります。

標準項目の確認に使用する資料を予め準備しておく
同様に、「こういった資料を見せてください」と言ったときに、いちいち「あれはどこにやったかな。誰が持っていたかなあ。」と、事務所総出で探しまわるといったケースもあります。 これも時間の無駄になりますので、出来れば、評価項目ごとに、「この項目はこの資料で確認してもらおう」というように、予め資料の準備をしておくことが望ましいといえます。

重点的に見てほしい分野をピックアップしておく
第三者評価は「標準項目が満たされているかどうかを客観的な視点で判断する」といった目的もありますが、それ以上に重要なのが、「事務所の特徴を第三者から客観的に捉えてもらい、利用希望者等が事業所を選ぶ際の参考にしてもらう」という目的です。
評価機関も事前の情報で、ある程度あたりはつけて来ますが、実際に事業所を見てみるまでは、何がその事業所の良さなのか、なかなか把握できません。そこで、評価を受ける事業者の側でも、この部分を明確に打ち出したい、というポイントを予め決めておき、その点を評価調査員にアピールするようにします。

(8)報告会を開催する
今回の第三者評価がどのようなものであったか、経営層への報告で終えるのではなく、職員向けに報告会を開催する事が、効果的に活かすために必要になります。

■報告会のポイント
評価調査員により報告してもらう
多くの職員を参加させる

評価調査員により報告してもらう
受審後に報告書だけをもらい、報告会は経営層やリーダー層が主となり、職員会議等で発表もしくは、回覧のみという事業所があります。せっかくの受審ですから、評価調査員より報告させ、皆で共有することが望ましいといえます。
事業所内の内部の方が報告するよりも、客観的にかつ重みをもって職員に伝えることができ、その後の取り組みへスムーズにつながることも可能となります。

多くの職員を参加させる
事業評価における、職員アンケートを回答した方は基本的に全員参加して、今回の結果がどのようなものであったかを確認する必要があります。事業所によっては、シフトの関係で職員が揃わないケースがありますが、時間帯をずらし、2回実施したりするなど工夫して、多くの職員が参加できるようにします。

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(9)職員への浸透を図る
第三者評価の項目を通して得る気づき、利用者の声から得る気づき等、これらを活用することが事業所サービスの質の向上にどれほど寄与するか言うまでもありません。その活用のためにもこれまで述べてきた鉄則を実施することが求められます。そしてサービス提供の主体者である、職員にどれだけ浸透し実行に移せるかがポイントになってきます。行動に移す為にも前提となり、職員への浸透が重要になってきます。

■職員へ浸透させるポイント
多くの職員を巻き込み、一人でも多くの職員を第三者評価に関わりを持たせる

浸透を図るためには、多くの職員に直接関わってもらうことです。職員アンケートも関わりの一つですが、それだけでは不十分といえます。多くの職員は評価項目が真に意味するところの理解が無いまま、ただ選択したり、言いたいことを記述したりする場合が少なくありません。この様なことを防ぎ、受審を効果的にするためにも直接的に第三者評価に関わらせる必要があります。

◆事例紹介
E区 障がい多機能型 M工房
~評価項目担当制を取り、職員全員で第三者に取り組む~
平成23年度より障害分野の標高項目が新体系に沿う形になり、障害者施設の受審が急増しました。M工房もその中の一つで、第三者評価の受審自体初めての施設でした。早期に評価の視点を取り入れ、施設運営に活用するという姿勢は経営層にあったものの、現場としては、帳票類、組織体どれも不備を感じ、どこから手をつけたら良いのかわからない状態でした。そのような状態のなか、第三者評価のカテゴリー項目に目がいき、カテゴリーごとに担当を付け、項目の理解からはじまり、必要な帳票類の整備に取り掛かりました。職員が余る場合は、カテゴリーの重さを施設長が判断し、2,3名体制で取り組みました。職員会議等で他のカテゴリー担当への説明をすることで情報の共有も図りました。受審後の報告書の内容に関して、職員同士が議論を交わしながらも、指摘された事項に関して、全員が前向きに捉え、改善に向けて活動しています。


(10)時期事業計画への反映
当年実施の第三者評価の結果を受けて次年度の事業計画に盛り込み、課題挑戦、改善活動は第三者評価を効果的に活かしている最良の姿といえます。これまでの鉄則を活かすためにも事業計画へ反映させ取り組んでいくことをお勧めします。

■事業計画反映へのポイント
スケジュールに注意する
取り組み課題を明確にする


スケジュールに注意する
次期事業計画策定は、事業所毎に異なりますが当年12月から翌年1月にかけて案を練り、2月には文書化するという流れではないでしょうか。これに第三者評価の標準期間約3か月を合わせて勘案する必要があります。

◆参考スケジュール
参考スケジュール


取り組み課題を明確にする
第三者評価受審後には、指摘事項を中心に改善項目を2,3項目決め、事業所内に掲示する必要があります。

◆サービス改善計画サンプル
サービス改善計画

改善項目を、このサービス改善計画書に掲げるだけなく、職員全体で話し合うことにより事業計画に落とし込むことが望まれます。
サービス改善計画書はあくまで、前年に指摘された事項に取り組むのに対して、事業計画書は同じ単年度の取り組みですが、数年先を見据えた上での街頭年度の取り組みなり、長期的視点も入ったり、事業所としての優先度も考慮されたりしています。

◆事例紹介
T市 デイサービス A
~重要事項をふまえた課題設定で、職員のやるべき事が明確化~
A施設は、毎年第三者評価を受審していました。受審を活かすために、報告書で指摘された「さらなる改善項目」を次年度の取り組み課題に掲げ、取り組んでいました。しかし、成果はなかなかあがらず、形式的なものになっていました。
そこで、これまでは指摘された事項をそのまま課題に掲げていましたが、事業計画や中期の方向性を確認した上で、何点かを取り組み目標として事業計画にのせることにしました。当たり前のことかもしれませんが、取り組み課題が明確化され、職員のやるべきことが明確になり、活動後の成果を出す事につながっています。


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2  評価機関の選び方
評価機関を大雑把に分類するならば、以下の2軸を使って分類することが出来ます。

■評価機関分類における2軸
組織マネジメント志向かサービス志向か
総合型か事業特化型か

これを図示すると以下のようになります。

■評価機関のマッピング
マッピング

事業特化型というのは、保育なら保育専門に評価を行っているような評価機関です。その事業に元携わっていた人が評価者になっているケースがほとんどです。(例:元園長、現役園長、保育士など)
そのため、評価の視点はどうしてもサービス志向に偏りがちになります。サービス項目については詳しく、また事例も豊富に持っていて、具体的なアドバイスを強みとしている評価機関もあるようです。一方で、その業界しか経験したことがない評価者も多く、業界の固定観念から抜けられないケースも多々見受けられます。
総合型というのは、事業特化型の逆で、一つの事業に拘らず、多くの事業の評価を実施している評価機関です。様々な事業を評価している為、固定観念に縛られず、幅広い視点から評価できる強みがあります。しかし、一つの事業を掘り下げるといったことには弱く、特にサービス分野の専門的なことは、事業者の側からよく説明してあげないと理解してもらえない場合もあります。
組織マネジメント志向の評価機関の多くは、コンサルティングを専門に行っているところが多いようです。評価者も実務経験者というよりも、現役のコンサルタント等、組織マネジメントに関する専門的な知識を身に付けた人間が担当しています。
また、サービス志向の評価機関は、すなわち事業特化型であるケースが多いようです。

(2)受審目的に応じた評価機関の選び方
以上のような評価機関の特徴を踏まえたうえで、自施設に合った評価機関を選択していきます。

サービス分野に課題がある施設
サービス分野に課題を多く抱えている施設であれば、迷わず事業特化型かつサービス志向の評価機関を選択すべきでしょう。実際、その事業を経験していた(もしくは現役で経営している)評価者から具体的なアドバイスを得ることができます。

組織マネジメント分野に課題がある施設
組織マネジメント分野に課題が多くあるのであれば、組織マネジメント志向の評価機関を選択するとよいでしょう。人事や中期経営計画など、実際に現場でコンサルティングを行っている評価者から、具体的なアドバイスを受けることができます。

サービス分野での専門的な取り組みを評価してもらいたい施設
このような施設では、事業特化型の評価機関がよいでしょう。ただし、実際の評価者が現役を退いてから時間が空いてしまっている場合、最新の取り組みに理解が得られないリスクもあります。

課題があり過ぎて何から始めたらよいか迷っている施設
組織マネジメント志向の評価機関を選ぶことをお勧めします。サービス志向の評価機関の場合、得意分野である具体的なサービス提供にばかり時間をかけたり、重箱の隅をつつくような評価を行ってくる場合があります。
まずは大局的な見方で、優先順位を示してくれる組織マネジメント志向の評価機関に依頼されることをお勧めします。

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