|
機能評価の受審を決断する際に重要なことは、目標を明確にし、職員一丸となって取り組む姿勢を打ち出すこと、もうひとつはゴールを明示するということです。ゴール設定のないところにモチベーションの醸成は期待できません。「○○の目的のために受審を決定したので、平成△年△月の受審を目指して、各自調整の上取り組んでほしい」という、いわゆるキックオフ宣言を全職員に対して発信することが重要です。 尚、受審の申込時期については、ゴールから逆算して設定します。 申込は、機構のホームページ上から申込書をダウンロードして入手します。これに必要事項を記入し、ファックス送信により提出して手続を行います。 受審に向けた取組みは、その時点が実質的なスタートになります。 （１）書類の収受と提出の流れ 申込手続を行うと、機構から病院に受審病院説明会の案内が送られてきます。これは、機構が主催する受審病院向けの説明会で、偶数月に東京（大阪でも開催）で行われていますので、スケジュールを調整して申し込み、参加するようにしてください。 その会場で受け取ることとなるのが、審査調査票です。その後の流れを以下の図に示しました。 【申込以降の書類の流れ】
��施設基本票 ��部門別調査票 ��診療機能調査票
��経営調査票 ��自己評価調査票 ��審査当日の進行表 （２）審査調査票の記載内容 訪問審査の２ヶ月前までに提出する書面審査調査票は、病院機能に関する数値的指標と訪問審査当日の動きを提示して、サーベイヤーが審査資料とするものです。 このうち「自己評価調査票」については、自院において病院機能評価が求める基準の達成度を評価するものであり、受審に向けてはこの自己評価調査票を中心に改善への取り組みを進めていくことになります。 【審査調査票の詳細】
�〇楡澳靄槁�
●基本情報（所在地、医療機関コード、開設者等） ●病棟種別 ●施設基準、加算等 ●患者数（外来、入院）･･･延べ患者数、新患数、年齢別、科別 ●紹介患者数 ●病床稼動状況･･･稼働率、平均在院日数 ●標榜科別医師数（常勤、非常勤） ●職種別・部門別職員数 ●労務・人事・委託状況 ●医療安全対策状況 ●感染対策状況
��部門別調査票
●外来（掲示、待ち時間調査、重複投与防止、時間外・休日） ●病棟（現況、療養環境、患者数） ●薬剤部門 ●内視鏡部門 ●画像診断部門 ●臨床検査部門 ●病理診断部門 ●生理機能検査部門 ●輸血・血液管理部門 ●手術・麻酔部門 ●中央滅菌材料部門 ●中央器材部門 ●リハビリテーション部門 ●栄養部門 ●診療録管理部門 ●医療社会福祉部門 ●在宅医療支援部門 ※体制、検査件数、指導件数、機器管理、委託状況等
��診療機能調査票
各科の症例数等の記載（前年１ケ年間） ※処置、手術、検査等実施件数 ●皮膚・形成外科 ●神経および脳血管領域 ●精神科・神経科領域 ●眼科領域 ●耳鼻咽喉科領域 ●呼吸器系領域 ●消化器系領域 ●肝・胆道系領域 ●循環器系領域 ●腎・泌尿器系領域 ●産科・婦人科領域 ●内分泌・代謝・栄養領域 ●血液・免疫系領域 ●筋・骨格系領域および外傷 ●小児科領域 ●歯科口腔外科領域 ●放射線治療領域 ●救急領域 ●麻酔科領域 ●リハビリテーション領域
�し弍陳敢塞�
●資産、負債および資本状況（B/S） ●収益の状況（医業収益、医業外収益、他会計負担金等）〜過去５年間実績 ●費用の状況（医業費用、医業外費用、医業損益、経常損益）〜過去５年間実績 ●診療科別外来・入院収益（１人１日当たり収益）
�ゼ�己評価調査票
●第１領域 ： 院長、事務長 ●第２領域 ： 院長、医療安全対策委員長、感染対策委員長 ●第３領域 ： 院長、事務長、看護部長、 ●第４領域 ： 院長、副院長、看護部長、各コメディカル所属長 ●第５領域 ： 各病棟師長（全病棟について、各別に評価する） ●第６領域 ： 事務長、総務課長、医事課長、施設管理課長、用度課長 ○第７領域 ： 精神科病床評価項目 ⇒ 該当病院のみ評価 ○第８領域 ： 療養病床評価項目 ⇒ 該当病院のみ評価
��審査当日の進行表
病院側の出席者、引率者及び訪問の順路の明示 ●領域別面接調査･･･診療領域、看護領域、事務管理領域 ●ケアプロセス訪問･･･診療領域、看護領域（病棟ごとに必要） ●領域別部署訪問･･･診療領域、看護領域、事務管理領域 ◆領域別部署訪問･･･順路明示 �仝軸悄β垤膽次α躪膂篤癲 ´⊂霾鶸浜�部門 �３依菴濃ー� �ぐ綮�課 �た芭転霾鶸浜�室 �ヌ�局 �ξ彎恩〆瑳次 ，修梁� 以上の審査表は、病院業務に関係したあらゆる情報を取りまとめるうえ、経営調査票のように過去５年分を準備しなければならないものもありますので、早期に仕上げることが肝要です。
訪問審査の受審時期の決定は、明確なゴールを設定して取り組むためには重要なファクターです。受審には、自己評価は受審に堪えうる状況、すなわち中項目で３以上、かつ小項目でｂ以上の評価できるレベルを確保した状況で臨む必要があります。 したがって、「受審できるレベルになったら受審しましょう」ではなく、「ゴールがいつだから、それまでに受審できるレベルを目指しましょう」といった踏み込んだスケジュール組みが必要となります。 また、受審スケジュールは新規受審の場合と更新受審の場合で若干対応が変わるため、その点は十分に認識して取り組みます。 【新規受審の場合】
※出典 財団法人日本医療機能評価機構 【実際の受審スケジュール例（更新病院）】 審査調査票のうち最後まで関わらなければならず、かつ最も重要な資料が自己評価調査票です。訪問審査当日は、ここに掲載されている項目に従い、サーベイヤーによる審査が行われるため、訪問審査までの期間はもちろん、次の更新に向けて必携の、いわば教科書的な資料ということがいえます。（１）評価項目の構成と評価基準の考え方 自己評価調査票は、「大項目」「中項目」「小項目」から構成されており、実際には中項目の審査結果をもとに評価が行われます。 【評価項目の構成】
その進め方としては、まず小項目の内容を具体化した下位項目においてｂ以上の条件をクリアする必要があります。 次に小項目についてa〜ｃを判定し、最後に小項目の結果を取りまとめて中項目の評価を決定します。 【評価基準】
小項目の結果を中項目の評価結果に反映させますが、その際の基準は、概ね以下のとおりとなっています。 【中項目の判定基準】
��小項目がオール「a」でも中項目の基本評価は「４」
��小項目にひとつでも「ｂ」があると中項目は「３」 ��財団あてに提出する評価表にひとつでも「ｃ」があると認定留保の可能性 中項目で「５」の評価を得ることは、積極的な取り組みをしていてもなかなか難しいものです。仮に、１４０ほどある中項目のうち一つでも「５」の評価があれば、その項目については全国的に見てもかなり高いレベルにあるといえるでしょう。 受審までの作業としては、小項目の「ｃ」評価を改善する取り組みを進めていくことです。小項目に「ｃ」評価がなくなれば、中項目については「３」以上の評価となるわけですから、その時点で認定証が確定するということです。 従って、改善が必要な項目（「ｃ」評価をつけた項目）が適切に抽出できていることが前提となりますから、小項目の「ｂ」評価が、全ての項目について適正に評価できているかがポイントになります。 （３）下位項目について Ver.6.0の自己評価票からは、小項目の判定において、下位項目の考え方（ｃに該当する条件）が明記されるようになりましたので、それらの考え方も十分に理解する必要があります。これは小項目がa、ｂ、ｃ評価のいずれに該当するかを判定する上で重要な項目ですから、必ず的確に評価する必要があります。具体的な評価方法は、概ね以下の５つのパターンに分類されます。 【パターン１】
1.1.1.1 理念および基本方針が明文化されている
�〕�念が明文化されている ��病院運営上の基本方針が明文化されている �４靄槓�針の内容は定期的に検討されている c.�´△里Δ舛劼箸弔任睨�たさないとき  ◆� ↓◆↓�ともクリアしている ⇒ 小項目はａ ◆� ↓△魯�リアしているが、��は未着手 ⇒ 小項目はｂ ◆��しかクリアしていない ⇒ 小項目はｃ 【パターン２】
1.1.1.2 理念および基本方針が病院の内外へ周知されている
�ヾ擬圈Σ搬欧悗亮�知が図られている �∩反テ發悗凌仔�が図られている c.�´△里い困譴睨�たさないとき ◆� ↓△箸皀�リアしている ⇒ 小項目はａ ◆�，靴�クリアしていない、もしくは�△靴�クリアしていない ⇒ 小項目はｂ ◆� ↓△箸發縫�リアしていない ⇒ 小項目はｃ 【パターン３】
1.2.1.2 病院運営上の課題を明確にしている
�／芭鼎亮舛粒諒檗Ω�上の課題が明確にされている ��経営上の課題が明確にされている c.�´△里い困譴睨�たさないとき ◆� ↓△箸皀�リアしている ⇒ 小項目はａ ◆�，靴�クリアしていない、もしくは�△靴�クリアしていない ⇒ 小項目はｂ ◆� ↓△箸發縫�リアしていない ⇒ 小項目はｃ 【パターン４】
1.5.1.1 全職員を対象とした教育・研修の計画が立てられ、実施されている
�〜歓Π�を対象とした教育・研修計画が立てられている ��計画には、必要性の高い課題についての教育・研修が含まれている �Ｉ�要な教育・研修が確実に実施されている �じ�修の参加状況を把握し、研修内容を把握している c.��を満たさないとき ◆� 銑い垢戮謄�リアしている ⇒ 小項目はa ◆� 銑�はクリアしているが、�い魯�リアしていない ⇒ 小項目はｂ ◆�，鉢�はクリアしているが、�△鉢い魯�リアしていない ⇒ 小項目はｂ ◆��はクリアしているが、� ↓◆↓い魯�リアしていない ⇒ 小項目はｂ ◆� ↓◆↓い魯�リアしているが、��はクリアしていない ⇒ 小項目はｃ ◆� 銑い垢戮謄�リアしていない ⇒ 小項目はｃ 【パターン５】
2.2.1.1 説明と同意についての方針・手順が明確である
�＼睫世汎碓佞砲弔い討諒�針が定められている �∪睫世汎碓佞砲弔い討亮蟒腓�定められている c.�´△里Δ舛劼箸弔任睨�たさないとき ◆� ↓△箸皀�リアしている ⇒ 小項目はａ ◆�，魯�リアしているが、�△麓蟒腓鳳茲辰殖稗辰�行われていない ⇒ 小項目はｂ ◆�，魯�リアしているが、�△亮蟒腓呂覆ぁ、諭‐�項目はｃ （４）改善活動の開始に際しての留意点 自己評価を進めるに当たっては、評価項目で求められている水準に対する自院のレベルを客観的に評価することが第一の作業であり、そしてその行動自体に意味があることを認識して行わなければなりません。 求められる水準と現状とのギャップがこれから取り組むべき課題であり、それらを職員一人ひとりが受け止めて向き合っていくことに、機能評価受審の真の意味があります。 この点について、管理者である院長以下、職員全員が十分に理解して取り組むことによって、受審により得られる効果はさらに大きなものとなるはずです。 【自己評価によって把握するギャップと改善課題】
|
