訪問審査において合同面接で行われる審査の対象は、自己評価審査票にある第１領域、第２領域及び第４領域です。概ね２時間半ほどの時間を費やし、サーベイヤーによるヒアリング形式で行われます。

【訪問審査当日の流れ】

合同面接調査は、第１領域は主に病院の組織全体のことが中心であるため、管理者（院長）による質疑対応が必要です。一部の地域連携に関連する項目や職員研修会などの項目については、前者では担当ＭＳＷなど、後者においては担当委員会の教育研修委員会の委員長などが、実施状況や研修プログラム等について回答されてもよろしいでしょう。

なお、第４領域については、薬局以下コメディカルすべての項目が入っていますので、１時間１０分ではすべて終わらない病院もあります。（診療科目や、診療機能が多い病院）
その際には、午後から行われる領域別部署訪問の中で、各部署にサーベイヤーが訪問した際に現場をチェックしながら、この項目に関するヒアリングを行う形をとっています。
概ね、薬局、臨床検査科（病理診断部門）、画像診断部門あたりまでは、合同面接調査で行われることとなるでしょう。 第１領域は病院の組織全般についての評価となります。合同面接の中でも最も時間を割く場面で、管理者である院長を中心にヒアリングが行われ、地域医療を担う病院としての熟成度を評価します。

（１）評価項目の構成
第１領域の評価項目の構成は、以下のとおりとなっています。（Ver.6.0）

評価項目の隣に示したのは、主に当時対応当たる方の職名を記しています。ご覧のとおり、ほとんどの項目について院長が対応することとなりますので、自己評価の内容を十分に掌握した上で審査に望む必要があります。
項目によっては、事務長等が補足的に答弁を行っても構いません。例えば事業計画の細かい数字等の説明等適宜説明を加えながら、的確にサーベイヤーに状況を伝えるようにしてください。

（２）病院理念、将来計画、組織運営の整合
第１領域の前段は、個別の評価が列記されていますが、実際の審査の中では、体系立ててあるいは、関連性をもって審査が行われていることがわかります。
当然ながら質疑は、個別の項目について行われていくわけですが、それぞれの項目についてきちんと整合しているかどうかを確認していく手法をとるケースが傾向としてあるようです。
具体的には、中長期計画には、病院の理念や基本方針を達成すべく立案されているか、立てられた計画は、各部門や個人レベルにまで落としこまれているか、計画の達成度合いを評価しているか、という関連性をもって評価してくるということです。
以前までのバージョンでは、例えば病院の理念や事業計画についてかなり踏み込んだヒアリングが行われていましたが、今回のバージョンで見直しがなされ、あまり理念や基本方針についてその適正度を評価するといったことはなくなりました。これは当たり前のことですが、理念や基本方針は千差万別で、サーベイヤーが押し付けるものでないとの考えが反映した形となったようです。また、事業計画についても、同様で第三者が評価すべきことでなく、策定のプロセスなどが確立され、予算などがきちんと執行されていれば、適切であるとの評価を与えるべきとの判断がなされるようになりました。

【理念・計画・運営体制の関連】

（３）病院組織図と職制
第１領域の重要参考資料としては、病院組織図がその筆頭に上げられます。病院の指揮命令系統が実態に即してあらわされ、院長からの指示がきちんと反映できる形になっているか、それぞれの部門は適切な位置付けに配置されているか、院長や看護部長など不在時に補完できる体制にあるか、受審までに見直しする必要があります。特に公的病院においては、実態に即した組織図になっていないと指摘されるケースが散見されますので、十分に注意してください。

※赤丸はよく指摘される部門を表しています

この領域は、全領域の中で最も項目数の少ない領域ですが、倫理、インフォームドコンセント、安全対策、感染対策とテーマはいずれも深くかつ重たいため、従って審査も厳しく行われています。

（１）評価項目の構成

第２領域は、管理者である院長へのヒアリングよりも、委員会の組織的活動状況を各委員長に確認して評価するものです。
前段は、倫理委員会、後半は、安全対策委員会、感染対策委員会と病院の基幹委員会として高い視点での審査が行われており、ここで認定留保になるケースも多くなっています。

（２）患者の権利と倫理活動
近年では、病院の倫理活動の実績について、実働を伴う形で行われているかが評価のポイントのひとつとなっています。具体的には、現場で検討する仕組みがあるか、現場の声を吸い上げ、病院としての方向性を打ち出すために倫理委員会が機能しているか、そして職員に広くそれらが周知されているかという一連の体系だった動きが求められています。

【現場の活動と倫理委員会との関係】

倫理委員会は、単に治験実施病院において開催されるだけではなく、広く臨床倫理問題全般について話し合う場としてすべての病院に求められており、主だった幹部の参加のもと、概ね３ヶ月に一度程度の開催が必須要件となっています。

（３）安全対策
倫理委員会と同様、委員会活動が組織的に行われているかをチェックします。評価のポイントとしては、院内情報及び院外情報の共有化、インシデントレポートの活用、マニュアルの整備と現場への周知徹底が上げられます。

【レポートが提出される土壌の形成】

アクシデントを未然に防止するための取り組みとして、インシデントレポートの活用がありますが、最初に求められるのが、その数の問題です。一つの指標として上記の考え方があり、特に医師からの提出については、少ないとの指摘を受ける病院がかなりの数に上っている実情があります。
次に重要なのは、分析および改善策の検討と実施、取り組んだ結果を評価するという一連のサイクルを確立できているかということです。この部分に当該委員会が中心となって活動し、職員へ広くフィードバックする実績が必要です。感染対策委員会の活動も同等の視点で評価されますので、実績を意識した組織的活動を進める必要があります。

【安全対策委員会におけるＰＤＣＡサイクル】

合同面接の場でのこの領域に関する審査は、患者サービス活動の部分に限局されます。それ以外の項目は、バリアフリー、プライバシー、アメニティといった主に病院の構造部分の評価項目であるため、部署訪問時に確認する仕組みとなっています。

（１）評価項目の構成

第３領域で認定留保になる危険性が高かったのが、禁煙の問題です。しかし、近年は館内禁煙は一般化し、敷地内禁煙にステップアップしている病院も珍しくなくなりました。しかし、職員への啓蒙の継続や、入院患者の喫煙についても患者教育を進める必要があります。また、プライバシーへの配慮については、あいかわらず厳しい審査が行われています。カルテや検体の取扱い、呼び出しや病室の氏名表示等全般に渡ってチェックするようにしてください。

（２）待ち時間調査と満足度調査
第３領域では、外来待ち時間調査と入院・外来の満足度調査についてのヒアリングが行われます。これらの調査は、基本的には毎年実施する必要があります。
第２領域の委員会活動同様、ここでも下図に示したように、「分析」→「改善策の検討と実施」→「結果の評価」というサイクルを確立する必要があります。評価結果が悪かった場合には、改善策を実施したうえで再評価するということになります。