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ケアプロセスは、入院から退院までの診療・看護を遂行していく過程において診療と看護間やその他チームとの間における業務の伝達プロセスや、チーム医療の実態を指しており、診療管理と看護管理のサーベイヤーが指定された病棟を訪問して審査します。ここでは、入院カルテを基本資料として、数人の患者について入院から退院までの一連の関わりを評価します。入院してきた経緯、入院診療計画の立案とインフォームドコンセント、看護計画の立案と実施、そして関連職種との連携、評価体系、指示命令系統、記録の適切性などが評価の視点となります。
審査は、主治医と病棟師長、および主任を中心に質疑応答が行われます。状況によっては、リーダーや一般職の看護師、助手に質問が及ぶケースもあるため、それぞれの業務や手順等について整合を図る必要があります。 また、関連職種としては、薬剤師による薬の管理体制、栄養士との連携、ＰＴによるリハビリテーション計画における適切な評価への関わり、他科受診の際の連携室との情報の収受等審査対象が広く、関係性の密度にも着目して評価されることを十分に認識する必要があります。 （１）評価項目の構成
１．病棟における医療の方針と責任体制
２．入院診療計画の計画的対応 ３．患者に関する情報の収集と伝達 ４．評価と周知 ５．ケアの実施（各論） ６．ケアプロセスにおける感染対策 ７．診療・看護の記録 ８．病棟での環境と薬剤・機器管理 最も留意すべきなのは情報伝達の項目です。指示命令系統にエラーがあると認定留保に直結すると認識して仕組みを確立し、現場での運用を徹底する必要があります。 （２）情報の伝達 医師の指示のあり方や指示受け、実施の体制、そして実施後の確認について、そのフローの適切性を評価します。イメージとしては注射箋の流れをチェックされると考えていただければよろしいでしょう。 最も認定留保になる危険性が高いこの項目で注意しなければならないのは、看護師による転記の問題です。看護師の代筆による注射箋等による薬の取り揃えや実施は避けなければなりません。これはオーダリングシステムを導入している病院においても同様であり、医師のパスワードを看護師が入力して、医師に代わってオーダーを行う行為は誤りとして捉えるべきです。 また、薬剤部門において、注射薬は１日量の個人取り揃えが必須であり、１施用ごとの取り揃えが望ましいとされています。 さらに、実施後の最終確認は、指示を出した医師が自ら行っているかということも評価の分かれ道になります。署名についての見解は分かれていますが、少なくともハイリスク領域のオーダーに対しては、医師による実施確認の署名が必要であるとの見解があることは認識しなければなりません。 【輸血実施の流れ】
輸血については、第４領域に独立した評価体系が存在しますが、ケアプロセスの審査においても、輸血実施患者のカルテが対象になることも多くみられます。 発注、保管、受け渡し、実施、観察記録等におけるそれぞれのプロセスが厚生労働省のガイドラインに沿った動きをしているかについて、重点的にチェックします。 【指示系統の流れ】
【輸血・血液製剤等保管状況の主要確認項目】
��専用保冷庫による保管が徹底されているか
��他の薬剤と混在して保管されていないか ��非常用電源などに接続されているか ��定期的な保守点検が行われているか ��搬出時は変質を起こさない配慮がされているか ��受渡しの際の誤認防止はマニュアルに定め、適切に実施されているか、 ��病棟等で一次保管されることがないか（専用保冷庫の必要性） ��実施中・実施後の観察記録は看護記録等に記載されているか 等 このほかにも、廃棄状況の把握や、輸血の適応基準に基づく評価の実施などの状況についても審査対象となります。 さらに輸血の実施が多い外科系の病院においては、輸血療法委員会の開催状況についても議事録等で内容を確認されます。 ケアプロセスの審査において、情報伝達・輸血に次いで認定留保の可能性が高い項目は身体抑制と感染性廃棄物の取扱いです。 感染性廃棄物の取扱いについては、第６領域で体制自体の評価を行いますが、基本的には取り扱う部署すべてにおいて注意する必要があります。 （１）身体抑制 身体抑制については、方針を打ち出し、基準を明確にすることが必要です。実施後については、方針に基づいた基準に則った対応を行わなければなりません。 重要なのは、方針に基づき解除に向けた努力をしているということです。 【方針と基準】
【指示と実施】
尚、精神科においては、抑制中の観察は、いずれの勤務帯においても１５分おきに行う必要があり、保護室入室患者の観察についても、３０分おきに実施しなければなりません。 【解除と評価】
（２）感染性廃棄物の取扱い 容器の取扱い、保管状況、搬出等十分な体制の整備と徹底が求められる項目です。 ��保管場所の遵守事項 保管場所においては、下記のような掲示をする必要があります。容器については、移し変えは厳禁、燃えるゴミ等他の用途に代用しない（ハザードマークを貼付していなくても不可）、足踏み式の容器の採用が望ましい等の留意事項があります。 【掲示と容器】
病棟等で容器中の内容物が満載となった場合に、廊下に放置、物品庫などに一時保管しているケースがありますが、不適切事項として評価されますので、改善しなければなりません。 仮に一時保管をするためには、施錠できる密閉された場所で、他のものと混在しない状態で、上記の掲示をする必要があります。
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