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平成20年８月に機構からVer.6.0のリリースに関する情報が公開され、同21年７月より新評価体系に基づく審査が開始されました。 今回の改定の目的や内容は、次のようなものです。 （１）新規受審数の伸び悩み 機構は、新評価体系への改定を行った目的と背景等について、次の２点を挙げています。
前者については、評価項目を編成および集約することにより、同等の評価項目が散漫にならないような配慮がなされました。これはVer.5.0リリースの際にも実施されていますが、さらにそれを推し進めた形となっています。 また後者は、より重視された点であり、評価項目を少なくすることで、受審意欲を喚起するというものです。しかし、期待された病床区分の再分化は見送られた形で２００床未満の病院に対する配慮はなされませんでした。 いずれにしても、その背景には受審病院数、とりわけ新規受審病院の激減があることは間違いなく、評価項目を減らすことにより受審しやすいイメージを与えることが目的であるといえるでしょう。 （２）改定の基本的な考え方と問題点への対応 今回の新評価項目は、以下のような考え方のもとで見直しが実施されました。
評価項目体系については、特に小項目数が大幅に減少されるとともに、組み替えも行われたため、評価される側も審査を行う側にとっても、体系が整理されて理解しやすくなった印象があります。 今回最も重視された点としては、認定期間中における質の維持と改善に向けた取り組みに関する評価が盛り込まれたことが挙げられます。これは、以前から機構が懸念していた事柄で、つまり更新受審病院と新規受審病院の初回認定率に大きな差がないということを受けての対応と推察されます。 例えば、同じ第三者評価であるＩＳＯは、認証後も毎年内部監査を実施し、その質が維持・継続されているかをチェックすることが求められているのに対して、病院機能評価にはその仕組みを評価する視点がありませんでした。したがって、５年後の更新受審までに構築された体制が崩壊してしまったり、継続すべき取り組みが中断されてしまったりという問題がかねてから指摘されていたという背景があります。 【更新受審時の問題点】
これらの問題を解消するため、次のような評価項目を設定して、その質の維持・改善に向けた取り組みを評価するように見直しが行われました。
また、第４領域においても各部門・機能において『業務の質改善を推進している』といった評価項目が盛り込まれ、病院全体としての組織的な取り組みにとどまらず、部門ごとにおいてもそれに向けた取り組みを推進することが求められるように改定がなされました。 （１）大幅な評価項目数の減少 Ver.6.0のリリース時に、最もインパクトのあったのが評価項目の激減です。 各項目別に見ると、大項目では3項目の減少に留まりましたが、中項目26項目、小項目186項目と大幅に減少し、Ver.5.0と比べて30.7％も削減されました。 【評価項目数の変遷】
また、領域ごとの配分は次のとおりです。 第８領域ではもともと項目数が少ないこともあり、小幅な減少に留まっています。
小項目の激減は、今回の機構の一番のアピールポイントであることは間違いない事実ですが、だからといって決して評価基準自体が下がったということはありませんので、評価項目数に必要以上に惑わされないように対応する必要があります。 （２）評価項目数の推移 今回劇的に項目数が減少しましたが、最も評価項目が多かったのはVer.4.0であり、大項目81項目、中項目204項目、小項目654項目と現在より235項目も多かったことになります。このころは最も受審数が伸びた時期と符合し、認定留保の件数も非常に多かったことが推測されます。 【評価項目数の推移】
このように、Ver.4.0の時期が最も評価項目数が多かったこともあり、病院機能評価の体系はこの時期に概ね確立されたといわれる根拠ともなっています。 またVer.3.1で認定証を取得した病院では、ほとんど更新が終わった状況ですから、今後はVer.4.0で認定を受けた病院がVer.6.0による審査で更新を迎えることとなります。 （３）評価対象領域 評価対象領域に大きな変更点はありませんが、「医療の質」を評価対象に加えたことについては注目すべきです。 従来の機構のスタンスとしては、「構造として確立されているか」、「確立されるプロセスが適切か」、「取り組んだ結果のアウトカムについての評価がなされているか」という視点から審査が進められていました。つまりアウトカムが必ずしも医療の質を担保するものでなくても、評価の対象とはならなかったという事情があります。 しかし、病院機能の評価を継続して実施することによる質の維持・改善を通じて、病院全体の医療の質を向上させることに言及した点は意義あるものといえるでしょう。項目数は減少したからといって必ずしも評価の基準が下がっているわけではないという根拠がここにあり、項目によっては以前よりかなり厳しく審査が進められることが想定されます。
【評価基準が厳しくなった事例】
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