新たに新設された項目の中でも、近年話題となっているエコ活動や、モンスターペイシェンントへの対応などは、新たに組織的な活動を進めるべき項目として取り組みを行う必要があります。
（１）エコ活動
今回全く新たな視点で、評価項目に採用されたものにこのエコ活動への取り組みが最初にあげられます。これは、地球環境に配慮した組織的な取り組みを評価する項目であり、次のような目的があります。
【地球環境への配慮】
| 環境破壊、環境汚染の防止は全地球的課題であり、病院といえどもこれらの取り組みの必要性の例外ではない。とくに病院設備におけるエネルギー消費、ディスポーザブル製品の使用は、一方で安全確保や感染管理上から求められるが、それらを考慮してどれだけ最小限に止める努力、取り組みを行っているかを総合的に評価する。
|
キーワードは、組織的な対応ですから、一部の部門が取り組んでいるといった対応は好ましくなく、病院職員一丸となった取り組みが求められることを十分に認識して対応する必要があります。
| １．７．３ 地球環境に配慮している |
| 1.7.3.1 地球環境に配慮した取り組みがある |
��エネルギー消費を抑える努力がなされている
��廃棄物排出量を抑える努力がなされている
��資源のリサイクルへの配慮がなされている
��自然環境の汚染防止への配慮がなされている
ｃ：�´↓��い里い困譴睨�たさないとき |
また、ここでは結果としての実績が必要とされますので、例えば電力消費に向けた取り組みを徹底した結果、「年間水道光熱費が対前年比○○％のダウンを実現できた」といったアウトカムが必要となると考えるべきです。
（２）院内暴力への対応
近年、病院の内外を問わず、患者及び家族などから医療者や病院関係者に対する暴力、暴言、脅し、威嚇、不当要求、セクハラなどに該当する行為が増加傾向にあるといわれています。さらに、院外においては、ストーカー行為や、迷惑電話など犯罪に結び付くようなケースも耳にします。
このような状況に対応できるように、医療事故や災害対策と同様に対応できる環境を整備することが求められました。
| ６．１．３ 職員が安心して働ける労働環境が整備されている |
| 6.1.3.3 院内暴力について組織的に対応している |
��院内暴力を防止する方針が明確で、体制が整備されている
��具体的な対応策が明文化され、職員に周知されている
��職員の相談窓口が設置されている
ｃ：�´△里Δ前譴弔任睨�たさないとき |
【評価の考え方】
院内暴力対策は、医療従事者を暴力から守ると同時に、病院の社会的信頼を守る重要な対策であり、担当者を明確にした組織的な対応が求められる。暴力発生時および事後処理の対応に関するマニュアルを作成し、いつでも対応できるよう整備しておく必要がある。外来患者や病院来訪者に向けた院内掲示、病院のパンフレット、入院時オリエンテーション資料などで暴力は許さないという方針を明確にしておくことが必要である。また、暴力が発生した場合は警察に通報すること、法的対処も辞さないことを明記することもひとつの方法である。
なお、再発防止に向けた検討の場が設けられ、具体策が立てられていれば適切である。このほか、暴力の被害者、加害者、目撃者等が相談できる窓口を組織内に設置することや、会議やオリエンテーション等の機会を利用して組織内に相談窓口を周知するなど、適切に活用できるための対応も求められる。 |
ここに明示されているような具体的に対応すべき項目のほか、さらに緊急連絡網（コードホワイト等）の整備なども併せて進めておくべきです。
（１）継続的な改善活動
受審病院の体系的な機能評価への取り組みについて、自己評価を含めて継続的な改善活動を評価する項目が新設され、受審前の準備状況や認定後の継続的取り組みを評価することとなります。
| １．８．１ 継続的な医療サービスの質改善への取り組みがなされている |
| 1.8.1.2 体系的な病院機能の評価に基づく改善活動に取り組んでいる |
��体系的な病院機能の評価を継続的に実施している
��課題を明確にして、組織的に改善に取り組んでいる
��改善結果を定期的に評価・検討する組織的な取り組みがある
ｃ：�´↓�のいずれも満たさないとき |
【評価の考え方】
改善活動は、業務改善委員会などの委員会組織によるもの、組織的に設置された部門によるもの、またはＱＣ活動によるものなどのいずれでもよい。
改善対象となる問題点を抽出し、改善計画を立て、これを実行し、結果を評価するという、ＰＤＣＡサイクルを日常的に繰り返す機能が、病院に備わっているかが重要な評価の視点である。
活動は部門横断的であり、一部の部署に偏っていないことが求められ、活動内容は財政的な課題についての取り組みだけではなく、医療サービスの質改善の観点から活動されていることが望ましい。
改善した成果が事例として明らかであることが望ましい。 |
ＰＤＣＡサイクルを確立して、アウトカムについて評価を行い、分析に基づいた課題抽出を実施し、そして改善に向けた具体的な取り組みを行うといった一連の流れがサーベイヤーに伝えられるかがカギとなります。
（２）新たな部門における評価項目
第４領域では、Ver.6.0によって新たに３つの大項目が盛り込まれました。これらは更新病院にとっては、新たに取り組みをしなければならないばかりでなく、医療法上の問題も内包している部門もありますので、十分ない対応が必要です。
【情報システム管理機能】
| ４．１６ 情報システム管理機能 |
| 4.16.1 情報システム管理の体制が確立している |
| 4.16.2 情報システム機能が適切に発揮されている |
| 4.16.3 情報システム管理機能の質改善に取り組んでいる |
ここでいう情報システム管理とは、１．４の情報管理体制とは別のものであり、オーダリングや電子カルテシステムなどの情報システムの機能および情報システムを管理する機能について評価する項目です。
下図で、その関係性を示しています。
【医療機器管理】
| ４．１９ 医療機器管理 |
| 4.19.1 医療機器の管理体制が確立している |
| 4.19.2 医療機器管理機能が適切に発揮されている |
| 4.19.3 医療機器管理機能の質改善に取り組んでいる |
第５次医療法の改正に伴って、医療機関で必要となった医療機器安全管理者を評価する項目であり、医療法で定められた管理体制を適切に行っていれば問題はないといえる項目です。
ただし、能力開発や教育・支援体制は機能評価における評価指標ですから、別個体制を整備する必要があります。
【臨床研修機能】
| ４．２０ 臨床研修機能 |
| 4.20.1 臨床研修体制が確立している |
| 4.20.2 臨床研修機能が適切に発揮されている |
| 4.20.3 臨床研修機能の質改善に取り組んでいる |
臨床研修必修化の流れの中で、卒後教育の担い手である臨床研修を行う病院では、一定の基準を備えた研修実施が求められることは必然です。
その体制の整備として、以下を必須要件として求めています。
●研修プログラム責任者
● 臨床研修指導医・指導者
● 事務管理担当者 |
さらに、研修管理委員会が設置され、規定に基づいた開催が定期的に行われ、機能していること、臨床研修に必要な施設・設備・機材が整備されていることなど、要件は多岐にわたります。
管理型の臨床研修病院であれば当然対応しなければならない項目ばかりですから、大きく逸脱することはないかとは考えますが、記録の整備は徹底する必要があります。
|
|
