医業経営の永続性及び非営利性を目的に、常時、社員３名以上、理事３名以上（理事長を含む）、監事１名以上の組織を確保できること。なお、診療所１か所のみを開設する医療法人の場合は、理事は２名でもよいこととされています。
社員及び役員（理事及び監事）の要件は次のとおりです。

（１） 理事長候補者は、医師又は歯科医師
（２） 欠格条項に該当していない
（法律上は役員のみの規定であるも、社員についても同様とするのが望ましい）

�� 成年被後見人又は被保佐人でない
　
●
成年後見人制度： 判断力が衰えたり、痴呆性高齢者、知的障がい者など自分自身の権利を守ることが十分でない人の財産管理や身上監護を支援する制度。1999年民法改正により導入、2000年４月施行。従来の禁治産者は成年被後見人、準禁治産者は被保佐人に改められ、さらに被補助人と任意後見制度が新設された〔自己決定権の尊重、介護保険の実施に伴う法整備の必要性などが背景にあるとされる〕。
　 　
●
成年被後見人： 精神上の障害により判断能力を欠く状況にある者として家庭裁判所の後見開始の審判を受けた者。法的な行為は後見人にほぼ代行されるが、日用品の購入など日常生活上の判断は本人に委ねられる〔禁治産者と異なり自己決定が尊重され、戸籍に記載されない〕。
　 　
●
被保佐人　： 精神上の障害により判断能力が著しく不十分な状況にある者として家庭裁判所の保佐開始の審判を受けた者。不動産の取得など重要な行為には保佐人の同意が必要。新たに本人が申し立てた特定の法律行為の代理権が保佐人に付与される〔戸籍には記載されない〕。

�� 医療法、医師法、歯科医師法その他関係法令の規定により、罰金刑以上の刑に処せられ、現在及び過去２年間違反していない
　
● その他関係法令
　 保健師助産師看護師法・診療放射線技師法・臨床検査技師等に関する法律・理学療法士及び作業療法士法・視能訓練士法・歯科衛生士法・あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律・柔道整復師法・義肢装具士法・臨床工学技士法・救命救急士法・死体解剖保存法・麻薬及び向精神薬取締法・言語聴覚士法・臓器の移植に関する法律

�� 自然人（法人や団体は不可）で、設立しようとする医療法人と取引関係にある営利企業の役職員でない
　
※ 未成年者の場合は、自分の意志で議決権が行使できる程度の弁別能力を有していること（義務教育終了程度の者）。
　 　
�� 実際に法人の運営に参画できる
設立認可申請時には、原則、医療機関として必要な医療用器械備品、電話加入権等の資産を所有し、新たに医療施設を開設するために法人を設立する場合には、２か月分以上の運転資金を確保していることが望ましいとされます。
また、土地及び建物は法人所有であることが望ましいですが、賃貸借契約による場合でもその契約が長期間にわたるもので、かつ、確実なものである場合には差し支えありません。
そして、医療用器械備品等をリースしている場合は、リース契約の引継ぎが確実なことが必要です。

（１）拠出（寄附）財産（負債を除く。）
拠出（寄附）財産は、拠出（寄附）者に所有権のあるもので、法人に拠出（寄附）するのが適切なものに限ります。なお、500万円以上の拠出に関わる場合には、税理士の証明書を添付する必要があります。

�� 財産の種類
　
イ） 基本財産・・・・・・・・・ 不動産、運営基金等の重要な資産
ロ） 通常財産・・・・・・・・・ 基本財産以外の資産
　 　
�� 財産の評価額
　
イ） 預金　・・・・・・・・・ 　残高証明の額の範囲
ロ） 医業未収金　・・・・・・・・・ 　前年実績等からの推計値
ハ） 医薬品、材料等　・・・・・・ 　帳簿価格
二） 不動産、借地権　・・・・・・ 　不動産鑑定評価書又は固定資産評価証明書の額
ホ） 建物(その付属設備を含む)　・・・・・・　減価償却した簿価
ヘ） 医療用器械備品(その付属設備を含む)　・・・・・・　減価償却した簿価
ト） その他の器械備品(その付属設備を含む)　・・・・・・　減価償却した簿価
チ） 電話加入権　・・・・・・ 　時価
リ） 保証金等　・・・・・・ 　契約書の金額
　 　 　（契約書に償却に関する条項がある場合は償却後の金額）

（２）運転資金
設立当初の医療法人の経営を維持するために２か月以上分運転資金があること（初年度の年間支出予算の２か月分に相当する額）。

（３）負債の引継ぎ
現物拠出（寄附）財産の取得時に発生した負債は、医療法人に引き継ぐことができます。
（例） 診療所の土地の取得資金に係る借入金
建物及びその附帯設備の取得資金又は増改築資金に係る借入金
医療用器械備品又は什器備品の取得資金に係る借入金
（１）賃貸借契約の引継ぎ
土地及び建物は法人の所有であることが望ましいですが、個人が開業医として賃借していた診療所等の土地及び建物を医療法人が引き続き賃借することは差し支えありません。なお、この場合は、土地及び建物の所有者の承認が必要です。
医療用器械備品等のリース契約の引継ぎについても所有者の承認が必要です。

（２）法人設立後の病院又は診療所の開設許可
開設許可に当たっては、医療従事者数等の開設許可要件を満たす必要があります。