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退職金制度について、病医院が抱えている課題を整理すると次のようになります。 （１）基本給とのリンク
（２）年功運用
退職金制度課題解決の方向性としては、退職金の支給継続、退職金の前払い、支給方法の選択（退職時に退職金として支給、退職時ではなく月例給与として前払い）、退職金制度の廃止という4つです。 （１）退職金の支給を継続 特に課題を残さない仕組み作りが必要となります。退職金が経営を圧迫している場合は、今後の支給額減も視野に入れます。その方法としては、退職金の支給月数の見直しと算定基礎（例えば、基本給＋役職手当）の見直しについて検討します。また、基本給との連動を切り離し、退職金単体の支給を検討する場合には、別テーブル、ポイント制、定額制が代表的です。 （２）退職金の前払い 退職時に支払う退職金を廃止し、この退職金原資を給与として前払いする考え方です。前払いの方法は、月例給与や賞与の上乗せが主です。前払いにすることにより、人件費を毎年精算することができるようになります。前払いのもう一つの方法としては、確定拠出年金（日本版401K）を導入し、退職金の受取額を職員の個人責任とすることもできるようになっています。 （３）支給方法の選択 職員に従来どおりの退職金支給か前払いを望むか選択させる方法です。職員に選択権を与えることで、退職金制度についてのコンセンサスを得ることもできます。 （４）退職金制度の廃止 退職金制度そのものを廃止する方法です。既得権は確保しなければなりませんが、将来、退職金として発生する額を補償する期待権は解消できる可能性もありますので検討に値します。
ポイント制退職金制度の優れている点は、既得権部分の退職金をポイント換算することにより新制度にスムーズに移行できる点と、病医院への貢献度と勤続部分のバランスを取りやすい点、さらには水準の修正が比較的容易な点にあります。 【職能ポイント単一型のイメージ 】
退職金は、ポイントに単価と退職事由による計数をかけることにより求められます。ポイントは、職員の役割、評価結果や経営ビジョン達成度に応じて、毎年与えます。 【ポイント対象例】
通常ポイント単価は、10,000円で設定します。しかし、単価は世間相場、物価変動、病院業績に伴って変動させることも視野に入れておきます。定期的に見直すことを規則に明記しておく必要があります。 【既得退職金（職員の持ち分）ポイントの算出】
ポイント制退職金への移行の際は、既得退職金額をポイント単価で割り返すことで、ポイントに置き換えることが可能です。例えば、390万円の既得退職金、ポイント単価を10,000円とすると、390万円÷10,000円で390ポイントが算出できます。このポイントが職員本人の既得退職金ポイントとなり、以後、職員の働きに応じたポイントが毎年与えられ、積み立てられることとなります。 【ポイント例（等級）】
その職員の役割が中間指導職であるならば、30ポイントが与えられ、管理職層へ昇格したならば50ポイントが与えられます。退職時には、積み立てられたポイントにポイント単価をかけて、金額化し、支給を行います。この際、単価は当初設定した単価（例の場合、10,000円）が望ましいですが、世間相場や物価変動、病医院の業績等、総合的に判断して、定期的に見直す必要があります。このポイント制退職金では、役割区分（等級）ごとにポイントを設定することにより、より貢献度の高い職員の支給額を多く、逆に貢献度の低い職員の支給額を抑制することが可能となります。 一方で、勤続年数を重視する場合は、勤続年数ごとにポイントを設定し、付与すればよいことになります。自院が職員の何に対して、退職金を支給するのかをよく検討した上で、ポイントの対象を決定することが重要です。 退職金前払制度とは、雇用の流動化、雇用形態の多様化、就業意識の変化等に対応して、本来退職後に支払うべき退職金を在職中に月例給与や賞与に上乗せして支給する制度です。 退職金にかかる所得税は、勤続年数に応じて退職所得控除額が増加するようになっていますが、社会保険料、雇用保険料は月例給与や賞与を基準に労使折半しています。さらに時間外手当についても月例給与が計算基礎となっているため、退職金前払いによる月例給与、賞与への上乗せは、人件費の負担増の要因となります。 特に勤続年数の長い職員は、退職金を全て前払いにすると税金等の負担がかなり重くなるので、その分の不利益を軽減すべく、調整給支給等の措置が必要となります。 【通常の退職金と前払制度の比較】
【前払制度のメリット、デメリット】
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