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年度利益目標を策定する際に、まず直近３ヵ年の実績をしっかりと振り返ることから始めます。売上や経常利益の推移、資産・負債等の状況など数字での確認を行ない、その実態をしっかりと見据えた上で、来期の構想を立てます。 その際、決算書診断で行った損益シミュレーションにて、売上、変動費、固定費の増減をどのように考えれば良いかを確認して、来期の予想利益を設定します。ここで設定された予想利益を目標利益とし、その後、目標利益を達成するために必要な利益計画の策定となります。 【目標利益設定フロー】
利益目標で設定される数値は、直近３ヵ年の実績からの十分な分析及び検討から導き出された、根拠のあるものでなければなりません。 単なる希望的数値や、恣意的に設定されたものであっては何の意味も持ちません。そしてその数値は具体的な活動計画に裏付けられ、実行可能な数値でなければなりません。そして「はじめに利益ありき」という考え方が必要です。 成長している病医院の理事長（院長）は、いくらの利益をあげるか、どのくらいの利益をあげられる病医院にしたいのか、という明確な目標や計画を持っています。 売上を増加させることが難しくなっている今日、予想される収益の中で必要利益を確保し、この中でコストを抑えるという、下記の利益公式を頭に入れて、経営に当たることが必要です。
（２）目標利益の設定方法の種類 目標利益は、次のようなさまざまな要素から設定することができます。自院にあった方法で、目標利益を設定するとよいでしょう。
ここでは、�ァ崋敍�金返済必要利益」の方法による必要利益の策定方法を解説します。 借入金は、経費ではなく利益から充当します。そして、利益から税金等を支払うことになりますので、すべてを返済にまわすことはできません。余裕をもった返済計画を作成することが必要です。
必要利益（＝目標利益）は、上記の計算式で求められます。この計算式を使用した、必要利益の算出方法は、以下のようになります。 【必要利益（借入返済が可能な利益）の計算例】
（３）規範利益の考え方 【規範利益とは】
病医院は資本を調達し、これを運用して利益を獲得します。少なくとも、調達した資本に係るコスト以上の利益を獲得しなくては、病医院は存続できません。 調達した資本のコストとは、借入金の利息や資本金の配当金などです。そこで、病医院の資本構成を調べて、それぞれの資本に関わるコスト等を計算し、これをもとに病医院が獲得すべき利益すなわち「規範利益」を計算します。 規範利益は経常利益ベースであるため、本業での利益を得ることを前提として、営業利益ベースである「規範営業利益」の算出方法を見ていきます。 【規範営業利益】
規範利益の計算ができたら、これをもとに実際の目標利益を算出します。もちろん、規範利益がそのまま目標利益になることが望ましいのですが、実際には、計算上求められた規範利益の達成は容易ではありません。 そこで、過去の営業利益を参考にし、また、現実の売上可能額を予想し、実現可能な限界利益率を参考に目標利益を算出します。 赤字病医院などで、とても規範利益の達成が困難と思われる場合、現実的な利益目標を設定します。それはできる限りの努力をして手の届く目標利益でもあります。しかし、規範利益は病医院の社会的責任として獲得すべき規範であるので、いずれは到達しなければなりません。そこで少なくとも３年後（あるいは５年後）に達成する目標を立て、この実現のために院内改革をすることが必要となります。 限界利益という利益概念を利用することにより、病医院が必要とする目標利益を導き出すことができます。 （１）限界利益とは 限界利益とは、売上高から変動費だけを差し引いた利益を指し、売上が上昇したときに最大限獲得できる利益を意味します。
利益は売上から費用（変動費＋固定費）を差し引いたものなので、限界利益は次のように表現することもできます。
これらの式から、限界利益を上げるためには、売上単価を上げる（同じ変動費で物を高く売る）か、固定費の削減が有効であること理解されます。限界利益がプラスの商品は、売上高が増加すればするほど利益が増加していきます。 （２）限界利益率を高めることで経常利益を上げる この限界利益を売上高で割ったものを「限界利益率」と言います。限界利益率とは、売上高が一定額増加した時、そのうちどれだけの部分が利益の増加に結びつくかを表します。
上記式より、限界利益率を上げるためには、変動費率を下げることが有効であることがわかります。また、固定費を一定と考えれば限界利益率を高めるほど経常利益を増加させることができます。
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