年度経営計画策定法 -　医療・福祉経営改善ナビ

（１）売上高目標設定フロー
先に立てた目標利益を獲得するためには、売上目標を設定しなければなりません。売上目標は、下記の流れにより設定します。

【目標売上策定フロー】

（２）売上高目標策定のポイント
中期経営計画を策定している場合、中期経営ビジョンで立てた売上高の妥当性を確認し、より細かい売上高計画を立てます。掲げた売上高と検討した結果、実現が可能である売上高との間に大きな乖離があるときには、再度ビジョンを検討する必要があります。

売上高目標を策定するポイントは、次のようなものがあります。

①	販売実績の分析と販売環境の確認まず、自院の来院患者数と診療行為実績の分析、取り巻く環境の確認を行います。【自院の販売実績の検討】
	●来院患者の地域別・年代別・性別等について分析 ●診療行為別収入実績の分析
	これらは、いずれも売上高のみでなく、粗利益まで含めて予算との差異を把握、原因を探り、次期の予算編成に活かします。【外部環境の把握】
	景気動向、診療報酬改定など、次期の売上に影響を与える要因について分析し、これらの要因に対する対応を予算編成に組み込む。

②	売上高予算の設定法売上高予算は売上金額だけでなく、販売数量も併せて考えます。仕入・生産計画を立案するためには、数量計画が基本となるからです。売上高予算を積み上げる際には、以下の３つがポイントになります。
	●保険診療における患者数を新患と再来に分けて考える ●保険診療における診療内容と診療点数を考える ●自由診療について考える

（３）売上高目標策定のポイント
必要売上高の算出方法には、以下のようなものがあります。

①	総資本利益率による方法


②	損益分岐点公式による方法


③	労働分配率から求める方法

（１）売上高目標設定の細分化
必要とされる売上高が決まれば、次はこの売上をどう獲得するかということになります。売上高目標を達成するための具体的行動計画が年度売上高計画です。
この年度利益計画を端的に言うと、

●いくらの診療単価で
●何人の患者へ

診療するのかを計画し、スケジュール化することです。
年度売上高計画において特に留意する点は、

●確実に見込める売上げ
●期待できない売上げ

を峻別することです。

（２）医療活動を支えるために必要な医療費予算
年度売上高計画が決まった後、医療活動を支えるために必要な医療費予算を組みます。医療費予算には、変動的なものと固定的なものがあり、組み立て方も異なる点に留意が必要です。

①	医療変動費材料費が主で、科目数も多くありませんが、医療活動に伴って発生し売上高に対する比率もほぼ決まっていることから、現状維持になりやすいものです。したがって、たとえ0.1％でも引き下げる意識的な努力が必要です。
②	医療固定費医療固定費は、他の固定費と同様にゼロベースで、利益への貢献度合いを基準に個別に検討され、積み上げられるべきです。
	【売上計画と販売計画のプロセス（一般企業の場合）】