リストラ=固定費の削減と言われるくらいに、固定費の削減はリストラが目玉とされます。
固定費を削減すると、損益分岐点が下がり、利益の出やすい構造となります。逆に、固定費は放置すると必ず増大してしまいます。
大幅な売上の増加を望めない今日の環境下においては、固定費の削減により売上高や限界利益にふさわしい固定費構造に変えることが欠かせません。
しかし、むやみに固定費を削減すると、病医院の成長力までも奪い取ってしまう危険性があります。固定費の本質は「限界利益を生み出すためのコスト」といえます。つまり、固定費を有効に活用して、限界利益を向上させることが本筋なのです。
こうした観点から、現在の固定費が本当の限界利益向上に貢献しているかどうかを判断し、膨張した部分はカットする一方、必要な経費は予算として組み込むことが必要です。

(1)固定費計画の科目
固定費は、下記のそれぞれの項目ついて、内容を吟味して決定します。特に人件費予算を厳しく見積もることが、重要になります。

【固定費の種類】
●人件費
●医療固定費
●販売費
●一般管理費
●政策的経費
●医業外費用(支払利息)

(2)人件費の考え方
人件費予算が固定費の柱になります。製造原価または工事原価と販売費、及び一般管理費から人件費を抜き出し、他の固定費と分けて予算化します。
また役員報酬、給与、労務費、法定福利費、福利厚生費、賞与、退職金等、細かく予算化します。
以下の例のように、前年の実績から当期の計画を立ていきます。

【人件費の考え方】
  前期実績 労働分配率
人件費 264,300 69.2%
  前期実績 増加率 当期計画
従業員数 74名 -9.5% 67名
人件費 246,300 -10.1% 237,700
役員報酬 32,770 1.3% 33,200
給与手当 139,703 -8.2% 128,200
雑給 29,987 -13.3% 26,000
賞与 9,520 -20.2% 7,600
退職金 0    
法定福利金 23,268 -5.4% 22,000
福利厚生費 3,288 -17.9% 2,700
その他人件費 25,764 -30.1% 18,000

(3)人件費以外の固定費はゼロベースで考える
人件費以外の固定費は、原価に属する費目、販売管理費に属する費目共に費目ごとにきめ細かく予算化します。過去の実績にとらわれることなく、年度の経営方針に基づいた活動計画を考慮しこれに沿って予算を決めます。
この際、ゼロベースの考え方で決めることが大切です。このゼロベースという考え方は、利益への貢献の有無により予算化を考えると言うことで、過去に実績があっても、今後の利益に貢献しないものは予算化しないということです。
したがって予算を削減する場合であっても、一律10%カットという決め方は禁物です。

�� 政策的経費の考え方
次期の計画に特別に織り込んでいる経費で、経営政策により増減する固定費に関わるものについては、先の製造経費や販売管理経費とは別に政策的経費として項目別に発生費用を把握します。
政策的経費の代表的なものには、開発費があり、次期において政策的に固定費を減少させることを計画している場合には、その分を減額します。

【政策的経費(固定費)減額の具体例】
●部門や事業の撤退
●一部の業務を外注に出す場合 など
 
�� 設備投資の考え方
設備投資とは、土地・建物や医療機械などにまず資金を投下して、その投資により、将来獲得利益が増加したり、または将来必要費用が減少したりすることで、結果的に投下資金を上回る資金を回収しようとするものです。
設備投資をするどうかは、投資額がまず確実に回収できること、それから投下資本が新たな価値を生み出すことが、設備投資判断の条件であり、これらの根拠のしっかりした設備投資計画を立案する必要があります。

【設備投資計画の立て方】
��設備投資額の予想
��売上高の予想
��ランニングコストの予想
��耐用年数の見積り
��増加運転資本の見積り
��資金調達方法の検討
 
�� 支払利息計画を立てる
支払利息は固定費として認識します。支払利息予算は、資金計画を編成していない段階では概算で計上します。
資金計画がある場合は、借入・返済計画に整合するように支払利息計画を立てます。なお、金利引下げが予定されている場合であっても、計画時点で確定していなければ、計画に織り込みません。
逆に、金利引上げが見込まれる場合は、確定していなくても計画に織り込む等金利変動リスクを見込む姿勢が必要です。
(1)将来のために…開発費の予算化
次期の固定費を計画する際は、将来のための研究費を予算化することを忘れてはなりません。ここでいう開発費とは広義の意味で捉えており、以下のものがあげられます。

●学会・研究会への参加
●人材採用・教育費

(2)部門別予算を組み立てる
部門別実績を把握し、全社目標を達成するために部門別予算を組み立てます。
経営コントロールをより有効に行うために、予算を管理の可能性の有無により分類し、業績評価、業績責任を明確にします。
予算はその部門や部門責任者の責任範囲を表しています。従って、部門責任者が権限を持っている経費科目や管理可能な費目について、予算を設定するのが合理的であり、それが責任予算ということになります。なお部門で管理できない経費については、使用権限を持っている部門で編成します。

【部門予算の分類】

固定費計画を策定する際、以下の例のような表を作成すると、より具体的な数字が導き出せます。