（１）野立て看板の注意点
限られた広告手段の中で、病医院の看板広告は非常に重要です。だからこそ高い料金に見合った効果を期待したくなります。
特に、野立て看板（道路に設置する看板）を作成する際には、以下のような点に注意が必要です。

�� 道路の反対側の看板は見にくい
　 道路の反対側にある看板まではなかなか目が届きにくく、逆に見やすいのは進行方向の左手になる。
　 　
�� 基本的な情報に絞り込む
　 診察時間、予約電話番号に詳細な地図など、情報が細かく書かれていても、看板前を通過する時間はせいぜい２〜３秒しかない。細かい内容は読み取ることができないので、基本的な情報に絞り込む。
　 　
�� １秒でアピールする
　 一目で診療内容が分かるシンボルマークを入れる。例えば小児科なら子供、歯科なら虫歯などが特徴的。

「夜９時まで受付」「漢方についてご相談ください」「日曜午前中診療」「月曜早朝外来」など、自院の特徴を簡潔にアピールすると大変有効です。また、実際に現場を自動車で走ってみることも大切です。
この時に、周囲に目を引く看板はないか、少し離れてしまうと建物に隠れてしまうことはないか、樹木に隠れてしまう危険性はないかなども、きちんとチェックしましょう。

（２）看板戦略のカギは動線と視線
せっかくお金をかけた看板ですから、しっかり患者の心をつかめているのかチェックする必要があります。
まずは、自院の看板がどのようになっているのかを知ることが大切です。自院が周囲に設置している看板を１つひとつ紙に書き出してみましょう。

【設置している自院看板のチェックポイント】
● 看板の種類
　 駅・消火栓・電柱掲示など
　 　
● 大きさ
　 契約書に○○センチ×○○センチと表示
分からなければ特大・大・中・小と表記しておく
　 　
● 看板の向き
　 東西南北もしくは拡大した住宅地図などに、矢印で向きを記入する
　 　
● デザイン
　 文字の色や字体・下地の色やシンボルマークの有無など
　 　
● 料　金
　 １ヵ月当たりの料金

朝夕の人の流れ、車の流れを矢印で地図に書き入れます。自動車か歩行者かは色分けをし、通行量は矢印の太さ等で表記します。これで自院の看板マップが完成します。
次に、そのマップを見て効果的な看板になっているかをチェックします。

【自院の看板チェック項目】
● 視線の方向に対し、直角になっているか
　 道路と平行な看板では、振り返らない限り視認できません。
⇒　目に飛び込んでくる角度がベスト
　 　
● 視線の高さに対して適度な位置になっているか
　 歩行者、ドライバー、それぞれの視線の高さから、大きく見上げないでも確認できるか。
⇒　表示位置の高さも大切
　 　
● 見やすいデザインになっているか？
　 看板の色や字体､シンボルマークなどがしっかりと認識できるか。
⇒　ドライバーなど、高スピードで通過する人にも認識できるデザインが必要

例えば、「○○病院」だけでは、患者はどのような場合に受診すればよいか分かりません。診療科を明確にすることが重要です。広告宣伝費の多い病院では年間数百万円の支払いがあります。常勤職員数名分の人件費に相当する額を支払っているわけですから、費用対効果を検証して、効率的かつ効果的な看板を設置するようにしましょう。
（１）ちょっとした工夫でイメージアップ
患者に人気がある病医院と嫌われる病医院の違いは、毎日の小さな心の積み重ねです。その良い例となる２つのアイディアを紹介します。

�� 朝のあいさつ
　 毎朝、患者が来院する時間になったら、駐車場を掃除したり、下駄箱の雑巾掛けをしたりしながら、「おはようございます」と元気よく挨拶をします。
朝一番に来院する患者に挨拶をしようとした場合、じっと待っているのも不自然に感じられます。自然に手を動かしていられるように、掃除をしながら挨拶をすると良いでしょう。
どんなに立派な理念を掲げていても、患者の横を黙ってスッと通り抜けていては、イメージダウンしてしまいます。朝の挨拶を習慣づけると、患者にも職員にも気持ちの良い朝の始まりになります。
　 　
�� ３分前診療開始
　 毎日の診療の中では忘れがちになりますが、患者は「診療開始」と扉の開く瞬間を、時計と見比べながら待っているものなのです。
そこで３分とは言わずとも、ほんの１分早く診療を始めるだけで、患者の印象はかなり変わってきます。毎日１分遅く診察を始める病院と比較すると、この２分の差が大変大きな病院の魅力になるのです。こんなに小さく、お金のかからないことでも、大きな差をつけることが可能なのです。
挨拶や少し早めの診療開始ということは医療の本質とは異なるように思われますが、知識・技術の重要度と患者からの信頼感は両輪であると捉えることも可能ではないでしょうか。

（２）他の診療科で行っているサービスを参考にする
病院の診療科目は、とても細分化されてきています。病院の運営や院内の工夫なども、診療科別に細分化されてきている傾向が見受けられます。

【診療科ごとのサービスの工夫】
●小児科 キッズコーナーの充実
●眼　科 目の悪い方のためのサインや色彩の工夫
●整形外科 動作の不自由な方のためにユニバーサルデザイン
●皮膚科 院内感染防止のための清潔感
●産婦人科 女性が安心できる雰囲気づくり

各院で、診療科特性に合わせた病医院づくりをしていることと思いますが、一度他科の特徴のある工夫を参考にすると良いでしょう。
例えば、小児科でもおばあさんが孫を連れて受診したり、お年寄りの患者が多く来院したりする病院であれば、眼科でよく使われている大きな字で見やすい表示にするアイディアが使えます。産婦人科のプライバシー重視で女性に優しい病院づくりは、全ての診療科に役立ちます。
意外にその診療科目内では当然の工夫が、他の診療科目では盲点になってしまっている素晴らしい工夫になることがあるのです。予算やスペースの都合上、全てを取り入れることは難しいでしょうが、基本部分だけでも導入すれば、より多くの患者の満足度を得られることでしょう。
他の業種から学ばなくても、身近な部分で学べるものは多いのです。

（１）効果を上げるホームページの活用法
口コミ発生や口コミ情報確認のためにはホームページが必要であると言えますが、どんなものでも良いわけではありません。口コミを聞いて、行こうと思っている人がホームページを見た時に、頼りになりそうと思える内容が必要です。重要なのは、信頼感と親近感です。

【信頼感を得るポイント】
��病院らしいデザイン ��患者からのお便り
��医師の経歴 ��よくある質問集
��専門家としてのアドバイス情報 ��メールフォーム

【親近感を感じてもらうポイント】
��医師の顔写真・似顔絵 ��職員紹介
��バーチャル来院　 ��文章の書き方
��院長の思いを語る 　

全てが必要なわけではありませんが、上記の信頼感と親近感から、それぞれ３つ以上の内容を揃えるとよいでしょう。

（２）信頼感を得るポイント
�� 病医院らしいデザイン
　 医療機関としての清潔感・信頼感を大切にし、情報が見やすく整理され、自院のイメージが伝わるデザインにする。
　 　
�� 先生の経歴
　 ホームページを見ている見込み患者にとって、その病院は未知の病院であり、未知の先生が診療している所です。安心して来院してもらえるように、以下のことを掲載するようにします。
　 　
　
●経歴の掲載 どんな経験を持っているのかを知ることで安心
●得意な診療分野 自分の悩みの専門分野だと、より安心して来院できる
　 　
　 医師の多くは、自分の経歴や専門分野を宣伝したがらない傾向にあります。しかし、自分の体調に対して不安を持っている患者に、この先生なら安心して任せられると思ってもらうためにも、経歴や得意分野についてはしっかりとアピールするようにします。
　 　
�� 専門家としてのアドバイス情報
　 一般的な病気に対するアドバイスに加え、先生の専門知識を患者にお伝えすることができれば、かかりつけ医としての役割に加え、専門的な判断が要る時でも「この先生なら大丈夫」と患者に思ってもらうことができます。
　 　
�� 患者からのお便り
　 基本的にホームページは病医院からの一方的な広報になってしまうものです。そこに、第三者として患者のお便りや声が紹介されることにより、口コミと同等の効果を発揮します。クレームにも誠実に対応している姿勢を表すためにも、マイナスの評価をきちんと掲載するのも大切です。
さらに、もらったお便りに対して、下記のような院長先生からのコメントをつけると、信頼感に加えて親近感アップにもつなげられます。ただし、個人が特定できるような情報の掲載には要注意です。
　 　
　 【患者からのお便りに対するコメントの具体例】
　
● 予約をして行ったのに、１時間も待たされてしまった。
⇒ 大変申し訳ございませんでした。今後は診療内容による診療時間管理を今の３区分から10区分にすることで、よりきめ細やかな予約時間管理を行ないます。予約時間に治療を開始できるよう努力するとともに、急患情報なども待合室の患者にお知らせしていきたいと思います。
　 　
● 子供を連れて行ったが、待合室で待たされている間に機嫌が悪くなって本当に困った。
⇒ お待たせしてしまい、誠に申し訳ございませんでした。院内で怖がってしまう子供さんを心配されるお母さんのために、駐車場など、待合室以外の場所でお待ちいただけるよう「携帯呼び出しサービス」を検討しています。４月からスタートできるように調整しておりますので、よろしくお願いいたします。
　 　
�� よくある質問集
　 「受付の開始は何時ですか？」など、患者からよく聞かれる質問や、こんな簡単なことは聞かれないだろうと思えることも含めて、質問数50個を目指して、病院のよくある質問集を作成してみましょう。
充実した質問集があることで、簡単な質問にもきちんと対応してくれる病院だと思ってもらえ、また既存の患者にも、診察中にできなかった質問に答えてもらえると、安心してもらえるメリットもあります。
　 　
�� メールフォーム
　 メールでの診療相談が来ても判断に困るし、なかなか返事ができないという場合の対応策として、以下のような定型文を返信メールに入れておく方法がお勧めです。
　 　
　
「残念ながらメールでのやりとりには限界があります。実際に来院していただければ、○○様に合った診断ができますので、もしよろしければ、ご足労いただけますでしょうか」
　 　
　 忙しくて毎日メールをチェックする暇がない、という場合は、メールフォームに、「お返事に２〜３日かかることもありますが、ご了承ください」と注意書きを入れておきましょう。
沢山メールが来たらどうしよう？　という不安については、「お問合せ多数のため、１日先着３名様までの質問受付とさせていただきます。ご了承ください」の一文を掲載しておけばよいでしょう。

（３）親近感を感じてもらうポイント
�� 先生の顔写真・似顔絵
　 先生の笑顔の写真や似顔絵をホームページに掲載することによって、事前に先生の年齢や雰囲気が分かりますので、来院前から患者に親近感や安心感を持ってもらうことができます。スペースに余裕があれば、先生の趣味などを掲載することで、より身近に感じてもらうことができます。
　 　
�� バーチャル来院
　 ホームページというバーチャルの世界であっても、来院方法・治療の流れを知ることができれば、患者が最初に抱く不安感を少し取り除くことができます。これは病院の入院・外来で適用できます。
　 　
　
●簡単な地図だけでなく、駅からの道順・車での道順を表示
●前の道路に中央分離帯があったり､周辺に一方通行の道が多い場合は、帰り道も表示
●病院周辺の写真を掲載、（あれば）駐車場の位置も表示
●初めて来院してから、会計をするまでの流れを写真つきで順番に表示
　 　
�� 院長・医師の思いを語る
　 毎日数多くの患者の診療をしていると、一人ひとりの患者に医師の思いを伝えることは難しいことです。
せっかくホームページを作るのなら、この場所で開業したいと思った理由、理念を掲げようと思った理由、現在の治療方針に至った経緯、病医院の名称の由来など、じっくりと語ることも効果的です。そうすれば、形式だけではない、本当の思いを伝えることができます。
　 　
�� 職員紹介
　 病院の中で患者に接する時間が長い職員も、ホームページ内で紹介を行えば、親近感をさらに増すことができます。一人ひとりということにこだわらず、集合写真でも良いでしょう。
　 　
�� 文章の書き方
　 ホームページを作成する際、先生自身が全て文章を作成する場合もありますし、定型文を使ったり、業者さんに代筆依頼したりする場合もあります。いずれにしても大切なのは、「普段先生が患者にお話しているような口調」を文章にすることです。普段の口調が上手に文章に反映されれば、ホームページを見ている患者も、先生の人柄や雰囲気を感じて、親近感を持つでしょう。

（４）その他のホームページ活用例
ホームページの活用法は無限大で、その効果は、どのように実際の病院とホームページを結びつけるかにかかってきます。

��ホームページ宣伝カード
ホームページを作成した折に、患者へアピールする案内カードを作ります。そこからさらに一歩進んで、患者紹介カードとホームページ案内カードを融合させます。
既存の患者が新しい患者を紹介をしてくれる際に、ホームページのＵＲＬが書いてあるカードを渡すことによって、より一層見込み患者にホームページを見てもらえる確率が高まります。また、そのカードの裏に、紹介者の名前を書く欄を作り、初診の際に持って来てもらうようにすれば、紹介者にお礼を伝えることができますし、患者同士のつながりも把握でき、患者情報の充実にもつながります。

��求人広告で自院HPに誘導
病医院が新聞に広告を載せるのは、求人の時だけというパターンが多いでしょう。その際、最近テレビのＣＭや企業の広告で見るような、検索窓にキーワード＋クリックという文字とカーソルを掲載すれば、より詳しい求人情報が掲載されているホームページに誘導することができます。
限られた広告枠の中で不十分な情報を伝えるより、様々な情報がぎっしりと詰まったホームページに誘導する方が、求人の効果は高くなります。

��手軽で患者に読んでもらうためのパンフレット
多くの人がインターネットを使用するとはいえ、実際にはほとんど見ない人や、パソコンが全然使えない人も中にはいます。そのような人たちのためにも、ホームページを印刷して、クリアファイルに入れて置いておくと良いでしょう。
あらためて院内報や病院案内を作成しなくても、ホームページを印刷して綴じ込み、新しい情報が追加・変更されたら、印刷し直して差し替えればいいのです。こうすることで、パソコン上だけで情報を見るのではなく、待合室にいる時でも、案内や情報を見ることができます。