一般に、医療事故等を防止する観点から、医療機関においては医療安全管理を意味して用いられることが多い「リスクマネジメント」ですが、医療機関経営は、これらのリスクと常時直面していることを理解したうえで、経営安定を図るための方策決定を支援することが求められます。
医業経営活動に影響を与えるリスクには、次のようなものが挙げられます。

（１）組織体制のリスク
病医院組織は。職員の大部分が医療関連の有資格者で構成されている一方、その職種別に部門が設けられ、これらが相互に協力・連携することにより業務を遂行するという特殊性があります。そのため、部門間の価値観の相違や意思疎通の困難さが、しばしば問題になるケースがあります。
●組織硬直化
●セクショナリズム
（２）経営リスク
病医院組織は。職員の大部分が医療関連の有資格者で構成されている一方、その職種別に部門が設けられ、これらが相互に協力・連携することにより業務を遂行するという特殊性があります。そのため、部門間の価値観の相違や意思疎通の困難さが、しばしば問題になるケースがあります。
●経営戦略の失敗
●事業計画の破たん
●中期経営計画や年度経営計画策定の失敗
●病院イメージ戦略の失敗
●マスコミ対応の失敗
（３）医療関連業務リスク
医療は専門領域であると同時に、安全に業務が実践されるように、各種法律・法令から様々な制限を受けています。これらに違反することは、患者の生命や健康を害することのほか、損害賠償請求や刑事・行政罰などの結果を招くこともあります。
●医療行為上の過誤
●業務効率性の低下
●重要書類の紛失
●コンプライアンス意識の欠如
（４）経営管理リスク
経営管理に携わる部門や職員は一部ですが、担当する職員の行為や、その管理システムの不備や失敗によって、思わぬ結果を招いてしまうかもしれません。
●医療安全管理システムの不適応、または不存在
●患者管理の失敗
●不正経理
●各種業務管理（医事、購買、在庫等）体制の未整備
●財務的破たん
（５）経営資源リスク
経営管理に携わる部門や職員は一部ですが、担当する職員の行為や、その管理システムの不備や失敗によって、思わぬ結果を招いてしまうかもしれません。
●設備の故障・事故、老朽化
●人材登用の失敗
●職員（医師を含む）の不祥事
●労働災害による死傷者
●従業員モラル（士気）の低下
●セクシャル・ハラスメント訴訟
●時間外給与や有給休暇をめぐる雇用関係のトラブル
（６）医療技術
医療技術の発展によってもたらされるのは、メリットばかりではありません。新たな技術によって、これまで存在していなかったリスクが顕在化することもあります。
●環境リスク
●新薬採用による副作用の出現
●最新医療技術の開発と採用
●医療廃棄物による水質・土壌汚染
（７）社会的リスク
医療機関を取り巻く社会の変化のスピードは、近年加速化しているといわれます。
そのため、従来は顕在化しなかった問題がリスク要因となったり、また組織に対する反社会的行為が行われたり、あるいは組織内部における反社会的行為の告発など、社会的リスクも拡大していると言えるでしょう。
●医療制度改革
●従来からの慣行の問題化
●犯罪組織の介入
●内部告発