医療法改正や診療報酬改定は、医療機関にとって直接的な影響を与える外部要因となるリスクであり、一方で施設設備や医療従事者、業務プロセスに存在するリスクは、内部要因的性格を持っています。
こうした要因別の区分に基づき、現実的な発生可能性や医業経営に与える影響度を評価し、自院が対応すべきリスクを抽出します。潜在的なリスクを把握するためにも、医療機関の規模や機能、地域での役割も考慮すべき要素になります。
一般に、診療所で想定されるリスクには次のようなものがあります。

■診療所で想定される要因別リスク
主たる要因 想定リスクの種類
機器・設備（設備的要因） 機器トラブル、転倒・転落
職員（人的・行動的要因） 誤診、誤投薬（与薬、注射）、機器操作ミス
外来患者取り違え、チューブ抜去・閉塞
体制・マニュアル（管理的要因） 薬品（麻薬）管理、異型輸血
抽出された潜在リスクに対して、効率的に有効な要因分析を行うためには、インシデントレポートを活用して、各インシデント情報に優先順位を付けて検討を進めていく必要があります。
優先的に分析対象とするインシデントの選択の視点として、つぎのようなものがあります。

■優先的に分析対象とするインシデント選択の視点

「生命への危険度」と「原因排除の必要性」に整理・分析＝優先順位づけ
これらの視点を生命への危険度と原因排除の必要性に整理し、分析の検討を進めます。個々のインシデント情報については、それぞれ危険度や頻度などによって検討レベルが予測されますが、とりわけシステムの改善を要する課題については、組織として直ちに取り組むべきです。それには、優先順位づけを有用に実施しなければなりません。 （１）リスクの回避
（２）リスクの低減