医療機関では、例えば同じ10：１入院基本料を算定している病棟であっても、病床機能や診療科目などによって、業務量が異なるのが通常です。つまり、同じ10：１看護配置を実施している病棟であっても、一方では重篤な患者が多く、他方は比較的状態の落ち着いた患者が多い場合、業務量に差が生じることは明白です。
この是正には、業務量に応じた看護体制を検討する必要性があります。これがいわゆる傾斜配置といわれるもので、職員一人当たりの業務量を標準化することによって解消されることが期待できます。
また、本来重視されるべき直接看護に対しては、間接看護（様々な記録や患者への説明、注射薬の取り揃え、注射薬のミキシング等々）の配分状況、あるいは他の部門に移管できる業務であるかの判断など、看護部門と他部門間の横断的な業務改善への取組みも、標準化に向けての重要なファクターであるといえます。
さらに、業務移管などの人的要因と共に、記録の簡素化などはシステムを導入して改善を図るなど、ソフトとハードの両面に検討が必要となります。

■業務標準化に向けた重要ファクター
現代の医療提供における主体はチーム医療であり、すべての医療機関において共通言語であるにも関わらず、現実は医師と看護師との連携が適切に取れているとは言いがたい状況です。
例えば、医師の指示が変更された際、医師に変更の内容を直接確認するという看護師は、そう多くはないと推測できます。

また、日常的なコミュニケーションの不備がありながらも、診療計画や看護計画、あるいはリハビリ計画などで適切なアセスメントを行うことについて、大小に関わらず障害が生じているのも否定できないところです。「連携ができていなかった」や「説明不足」というリスク発生要因の根源にあるのは、コミュニケーション不足に起因するエラーだといえます。
（１）院内・院外コミュニケーションの場合
職員間における内部コミュニケーションが必要とされる場面、および職員と患者・家族間のコミュニケーションを必要とする場面は、以下のとおりです。
（２）職員間の日常的コミュニケーションの場合
日常的なコミュニケーションにおいては、指示命令系統上で、活性化を促進しなければならないポイントが存在します。業務多忙を理由にした不徹底の常態化が積み重なり、綿密なコミュニケーション構築への配慮を怠るとエラーの連鎖に気づかないだけでなく、致命的なリスク発生に至る危険性が高くなります。