薬剤管理におけるリスクマネジメントの要点は、職員教育と万が一の事故を防止するための体制構築の２点です。
●判読困難な文字等も含め、処方医等への疑義照会は正確に行い、内容を必ず記録する
（医師は常にわかり易い字で処方せんを記入）。
●処方内容のみではなく、年齢・性別等の患者情報にも注意する。
（１）調剤業務
●複数の職員で確認し、単独で行った場合も再チェック（監査）を実施。
●調剤中は、電話に出る・話をする等、注意散漫になる要因をできるだけ排除する。
●外用剤などには、注意文書や目印を貼付して、用法を明確にしておく。
●消毒剤は、用途に応じて至適濃度（％）が異なるので、各用途を確認して調製や払出を行う。特に、希釈する場合には濃度に十分注意する。
（２）散剤（特に倍散）
●倍散の場合は、常用量の確認をしながら作業し、なお疑義が生じる場合は、処方医に必ず疑義照会する。
●配合変化等は記憶に頼らず、医薬品集やデータベース等を活用して、必ず確認する。
（３）院内製剤の調製
●院内製剤の調製に当たっては、チェックシート等を利用して１工程ずつ薬剤師が確認する。
（１）外形的に類似した医薬品
●類似医薬品名があることを全員が認識する。
●名称、外観、包装等が類似している医薬品については、収納場所等を工夫し、調剤棚（台）に目印や注意喚起文書を貼付し、医薬品の取り違えのないよう最善の注意を払う。
（２）規格・単位
●処方内容が医薬品名と数量のみの場合は、医師に規格・単位についても確認する。
●年齢・用量等についてもチェックし、用量では単位（ｇ、mg、ml）に注意を払う。
●同一医薬品名の注射剤については、筋注・静注・皮下注など施用部位が異なる場合があるので注意する。
（１）保管場所等
●常時、温度・湿度管理に留意し、適正な保管管理を行う。
●外観上、品質変化のわかりにくい医薬品もあるので、外箱に記載している有効期間又は使用期限に注意する。
●納品を受けた場合は、必ず発注した医薬品の規格・単位・包装の内容との確認を行い、所定の保管場所に速やかに保管する。
●麻薬および医薬品である覚せい剤原料は、盗難等防止のため、院内にそれぞれ専用の鍵をかけた保管設備（固定した保管庫又は容易に移動できない重量保管庫）に保管し、向精神薬は、できるだけ部外者の目につきにくいところ、あるいは施錠可能なロッカー等へ保管する。
（２）病棟における定数保管
●病棟保管医薬品については、管理担当者を決めて定期的に点検し、破損・期限切れに留意する。
●麻薬、医薬品である覚せい剤原料、向精神薬の病棟保管の場合は、上記（１）と同様に取り扱う。
（１）患者への与薬・注射
●薬歴管理のシステム化、カルテとの一体化
   患者の薬剤及び他の情報を検索でき、薬物療法に関する方針が確認できるシステムを検討する。
（２）薬剤の誤認・誤使用防止及び副作用等の早期発見
●薬剤師が与薬を患者個別に取り揃えて渡し、薬剤を一元管理することが望ましい。