在籍中の職員が仕事上で病医院に損害を発生させたり、病医院の高価な物品等を壊してしまった場合、損害賠償として給与や賞与から差し引いてしまう場合があります。

職員の不注意で高価な機械を壊してしまい病医院に損害を発生させてしまったことが明らかな場合でも、当の職員に損害賠償を請求しても良いのかという問題が生じます。

一般的には、故意・過失により損害を発生させれば、病医院は債務不履行や不法行為に基づき損害賠償請求ができます。ただ、これらは、事件や事故が発生してから損害額がきまるものです。
法律では、あらかじめ賠償額の予定をすることは禁止されています。このため、職員へ損害賠償の請求をするのが困難になっているのが実情です。
とはいえ、事件や事故が職員だけの責任とはいえない場合も多く、結局、契約や就業規則では「職員に故意や重過失があって損害を生じさせた場合」と規定することになります。
問題は、それが肯定されても、実際はどのように請求するかです。全額払いの原則に反するので、給与と相殺することはしてはいけません。解雇に値しない程度の問題であるならば、じっくり話し合って、給与は払った上で分割払い方式等で支払わせるのが現実的でしょう。

※職員への損害賠償請求は、懲戒解雇と同程度の故意、または重過失の場合に限定する。