クリニック等で良く見受けられるケースですが、パート契約を結んだ職員に、正職員とほとんど変わらない仕事をしてもらっているのに、給与や賞与が格段に違うことがあります。

そのパートタイマーからすれば､同一労働同一賃金の原則から法令違反ではないかと主張する問題です。病医院としては、正職員と同じ給与はとても出せないと考えます。

現行法では「同一労働同一賃金」を明言した規定はありません。判例も同様に「正職員と異なる賃金体系によって雇用することは、正職員と同様の労働を求める場合であっても、契約の自由の範祷であり、何ら違法ではない」（大阪地判平14522）としています。本人の自由意思による契約ですから、病医院の経営上の必要』性を否定していません。
　思うに、クリニックでは正職員より相対的に低い給与のパートタイマーは戦力として欠かせません。だからといって、まったく同じ仕事をさせているのに給料が低いのでは、やがて不満が出てきます。力のあるパートは正職員への登用を考慮すべきでしょう。普段は、正職員にさせる仕事とパートにさせる仕事とでは区別して運用したほうがよいと思います。責任の重さがまったく違うはずだからです。

パートと正職員は責任の重さが違うことを前提に、全く同じ仕事をさせないように注意することが必要です。