毎月の給与は、労働の対価であると同時に、生計費の保証という性格を持っています。 一般に、仕事の経験年数が１年長くなると仕事上の能力が向上すると同時に、結婚や出産、子どもの成長で生計費が上昇します。
職員の労働能力の向上や生計費の上昇などに対応して、毎年１回４月に定期的に月例給与の昇給を行っている病医院が多く、なかには、４月のほか10月にも昇給を行っているところもあります。
経営が不振に陥ったときは、少しでも人件費を抑制する必要があるため、昇給の額・率を抑制したり、あるいは停止したりします。 例えば、人事考課分も含め、全職員平均約３％の定期昇給を行っている病医院では、これを1.5％にしたり、あるいはゼロとします。

昇給の抑制・停止には、実務的に、
● 一般職員も含め、すべての職員について行う
● 一般職員については通常どおり昇給を行い、管理職についてのみ抑制あるいは停止の措置を講じる
● 上位の管理職についてのみ、抑制あるいは停止の措置を講じる

などが考えられます。

４月に定期昇給を行っている病医院の場合、職員は、「今年も４月に定期昇給が行われ、給与が上がるだろう」という期待感を持つのはきわめて当然のことでしょう。このため、経営不振に対応して定期昇給の抑制あるいは凍結・停止を決定したときは、できるかぎり早めにその旨を職員に知らせて理解を求めるべきです。

【昇給停止の通知例】