1  控除の方法
欠勤や遅刻・早退に伴う不就業の時間について給与を控除していない病医院の場合には、経営不振に伴う人件費合理化策の一環として、控除制度を実施することが考えられます。また、すでに控除制度を実施している病医院の場合は、その控除基準を強化することが考えられます。

欠勤控除の方法としては、
欠勤日数に応じて給与の日割相当分を控除する(例えば、1日当たりの給与が1万円の職員が欠勤したときは、1日に月1万円控除する)
給与の日割相当分を下回る額を控除する(例えば、1日当たりの給与が1万円の職員が欠勤したときは、5,000円控除する)
一定の欠勤日数以降、給与の日割相当分を控除する(例えば、欠勤が1カ月2日を超える場合に給与の1日分を控除する)
一定の欠勤日数以降、給与の日割相当分を下回る額を控除する(例えば、欠勤が1カ月2日を超える場合に給与の半日分を控除する)
欠勤の事由によって控除額を決める(例えば、無届欠勤は給与の1日分、届出欠勤は給与の半日分を控除する)
などがあります。

次に、遅刻・早退の控除の方法としては、
遅刻・早退の時間を1カ月累計し、その累計時間に相応する給与を控除する
遅刻・早退の時間を日数に換算して給与から控除する
遅刻・早退の回数で控除する(例えば、遅刻・早退3回で給与の1日分を控除する)
遅刻・早退が一定の回数以上に及んだ場合に限って控除する
などがあります。

【欠勤、遅刻・早退控除の方法】
欠勤控除
遅刻・早退控除
給与の日割分の控除
給与の日割分を下回る控除
一定の欠勤日数以降、給与の日割分の控除
一定の欠勤日数以降、給与の日割分を下回る控除
欠勤事由による控除
時間による控除
時間を日数に換算して控除
回数による控除
一定回数以上の場合に控除
時間・回数階級別による控除
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2  控除の効果
給与は、所定労働時間労働したことに対する報酬という性格を持っています。
病医院は、職員が1日8時間、1カ月20数日、病医院の指示命令に従って所定の業務を誠実に遂行したことに対する謝礼として給与を支払います。もし、職員が何らかの事情で欠勤・遅刻・早退をすると、その時間については労務の提供が行われないことになります。労務の提供が行われなければ、予定していた業務の遂行に支障が生じるため、職員を雇用することの意味がなくなってしまいます。

欠勤や遅刻・早退に伴う不就業時間に対して給与を控除するのは、「ノーワーク・ノーペイ」の原則に照らして当然の措置でしょう。
とりわけ、景気の低迷などで経営を取り巻く環境がきわめて厳しく、その影響を受けて経営内容が悪化しているときは、全職員が危機意識を強く持って仕事を遂行する必要があります。安易な理由で欠勤、あるいは遅刻・早退を繰り返すなど、職員の気分が緩んでいたのでは経営危機を克服することはむずかしくなります。

欠勤・遅刻・早退控除の実施・強化は、職員に対して危機意識を植えつけるという効果もあるのです。
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3  給与規定への記載
欠勤、遅刻・早退について給与控除を行うときは、その取扱い基準を給与規定に記載しておかなければなりません。
例えば、欠勤について日割相当分を控除するときは、次のように規定します。

【規定例】
第○条 (欠勤控除) 欠勤したときは、その日数に応じ、給与の1日分を控除する。

また、遅刻・早退について時間で控除するときは、次のように規定します。

【規定例】
第○条 (遅刻・早退控除) 遅刻または早退により、所定労働時間の一部を休業した場合においては、その休業した時間に対する給与は支給しない。
  前項の場合において、休業した時間の計算は、当該賃金締切期間の末日に合計し、30分未満は切り捨てるものとする。
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