1  税額控除か特別償却
一定の青色申告法人である中小企業者等が取得(又は賃借)する機械装置や電子計算機などに対して30%の特別償却か7%の税額控除を認める制度が、「中小企業投資促進税制」です。この税制は平成10年に創設されたもので、対象範囲の変更とともに期限が平成24年3月31日までに取得事業供用したものと延長されました。
この制度を利用できれば、例えば対象資産を300万円購入したとすると、300万円×7%=21万円が税額控除できます(税額控除を選択した場合。また法人税額の20%が上限で、超過分は翌年に繰り越せる)。
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2  中小企業等と特定中小企業者等
まずこの中小企業者投資促進税制の対象となる「中小企業者等」の範囲としては、以下のとおりです。
法人
  資本金が1億円以下の法人(但し大規模法人の子会社は除く)
  資本金を有しない法人のうち、常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人
個人
  常時使用する従業員の数が1,000人以下の個人
その他
  農業共同組合等

また中小企業者等のうち資本金が3,000万円(中小企業等基盤強化税制での卸売業・小売業・飲食店業・サービス業は例外として1億円)を超える法人以外の法人・個人等については、「特定中小企業者等」と規定しています。そして、その特定中小企業者等しか、取得の場合の税額控除の適用がありません。

中小企業者などが一定の機械及び装置等を一定の契約により賃借した場合の税額控除(リース税額控除)については、中小企業者等が機械等を賃借した場合の税額控除(リース税額控除)(平成22年3月31日以前にリース契約を締結した場合)」を参照してください。
   
平成20年4月1日以後に締結される所有権移転外リース取引(一般的なリース契約)により、税務会計上、賃借人が取得したものとされる資産については、特別償却の適用はありません。
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3  特別償却額及び税額控除額
(1)特別償却
中小企業者等が新品の特定機械装置等を取得し、事業の用に供した場合には、供用年度の償却限度額は普通償却限度額と特別償却限度額との合計額とします。
【特別償却限度額】=基準取得価額×30%

【200万円の特定機械を1台取得した場合】
200万円×30% = 60万円を損金算入できます。
よって、所得金額が60万円減少しますので、法定実効税率を約40%としますと、 
60万円×40% = 24万円の節税効果が得られます。

(2)特別控除
特定中小企業者等(資本金・出資金の額が3千万円以下の中小企業者等)が新品の特定機械装置等を取得し、事業の用に供した場合において、特別償却の適用を受けないときは、供用年度の法人税額は、その事業年度の法人税額から、特別控除額を控除した金額とします。

【税額控除額】
 税額控除額 = 特定機械装置等の基準取得価額×7%
 税額控除限度額 = その事業年度の法人税額×20%
 ①または②のうち、いずれか少ない金額

【200万円の特定機械を1台取得した場合】
200万円×7% = 14万円を税額控除できますので、14万円の節税効果が予想されます。

注) 医療用機械等に該当しないとされている給食設備については、中小企業者に該当するものは、当該特別償却ができます。また、他の規定との重複適用が禁止されています。

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4  適用対象年度と対象資産
平成10年6月1日から平成24年3月31日までの間に新品の機械及び装置等を取得し又は製作して指定事業の用に供した場合に、その指定事業の用に供した日を含む事業年度に、特別償却又は税額控除が認められます。
機械及び装置 1台又は1基の取得価額が160万円以上のもの
器具及び備品 1台又は1基の取得価額(又は同一種類のものの取得額の合計価額)が120万円以上の次に掲げるもの
イ) 電子計算機
ロ) インターネットに接続されたデジタル複合機
(平成18年4月1日以後に取得したものに適用)
ソフトウェア 一のソフトウェアの取得価額が70万円以上のもの
(平成18年4月1日以後に取得し、又は製作したものに限ります)
貨物運送用車両運搬具 車両及び運搬具のうち一定の普通自動車で、貨物の運送の用に供されるもののうち車両総重量が3.5トン以上のもの

注) 「給食用設備」及び「クリーニング設備」は、機械及び装置に該当しますが、「レントゲンテレビ、歯科診療用ユニットその他の医療機器」は、機械及び装置に該当しません。
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5  特別償却及び税額控除の選択適用
中小企業者等のうち、資本金額が3,000万円以下の特定中小企業者等については、特別控除と特別償却のいずれも適用できますが、重複して受けることはできないので、どちらか選択しなければなりません。
中小企業等投資促進税制に関する特別償却や特別控除等と、他の特別償却や特別控除等とを重複して適用されることは認められません。ただし、試験研究費の特別控除は特定の資産を取得等した場合に適用されるものではないため、重複適用にはなりません。
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