この制度は、一定の研修費用を支出した場合には税額控除をすることができるというものです。研修費用は、そもそも会社の経費になりますから、更に税額控除ができるという二重の節税になります。
これまでは、研修費用が増加することが要件となっていましたが、平成20年4月1日開始の事業年度から、中小企業に限り「労働費用」（給与＋法定福利費＋研修費用）のうち研修費の占める割合が、0.15％以上の場合は、研修費用の８％〜12％の税額控除ができることになりました。

【改正後】

この制度の適用対象となる中小企業者等とは、青色申告書を提出する次にあげる者をいいます。
● 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人
　 ただし、同一の大規模法人（資本金の額若しくは出資金の額が１億円を超える法人又は資本若しくは出資を有しない法人のうち、常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。）に発行済株式又は出資の総数又は総額の２分の１以上を所有されている法人及び２以上の大規模法人に発行済株式又は出資の総数又は総額の３分の２以上を所有されている法人を除きます。
● 常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人

（１）適用対象年度
この制度は、平成20年４月１日から平成21年３月31日までの間に開始する各事業年度において適用できます。 ただし、適用対象年度であっても、設立事業年度（合併による設立を除きます。）、解散事業年度（合併による解散を除きます。）及び清算中の各事業年度においては適用できません。

（２）教育訓練費の範囲
この制度の対象となる教育訓練費とは、使用人（役員、役員の親族などの特殊の関係にある使用人及び使用人兼務役員は除きます。）の職務に必要な技術や知識を習得させるため又は向上させるために支出する費用で、次のような費用をいいます。
なお、教育訓練費に充てるために、他の者から支払を受けた金額がある場合には、その金額を控除した残額が、この制度の対象となる教育訓練費の額になります。

社内研修型 使用者が教育訓練を自ら行うための社外講師等への報酬等、教育訓練施設等の賃借料などの費用
研修委託型 講師、教材を含め研修全体を外部に委託するための費用
研修参加型 外部研修の授業料・受講料、受験手数料などの費用
教材納入型 研修用教材の購入、また（外部）委託製作のための費用

労務費とは、所得税法第28条第１項に規定する給与等（使用人に対して支給するものに限る）、法定福利費（法令の規定により事業主が負担することとされている福利厚生費として一定のもの）および教育訓練費をいいます。なお、「福利厚生費として一定もの」の詳細については、今後の措令で明らかにされると思われます。
（１）税額控除額
税額控除額＝教育訓練費×税額控除率
　　　 控除率＝８％＋（教育訓練費／労働費用−0.15％）×40
　　　　ただし、税額控除率は12％が上限
税額控除限度額　当期の法人税額×20％

（２）留意すべき点
教育訓練の対象者は「使用人」であり、役員や役員の親族が教育訓練を受けても対象になりません。また教育訓練に使用するために取得したリース情報通信機器等の賃借料については、ＩＴ投資促進税制と人材投資促進税制の併用はできません。
教育訓練のために給付された助成金・給付金は、教育訓練費から控除します。
教育訓練費の対象になる費用は、確定申告書には別表とは別に、教育訓練費等の実施日、内容、参加者氏名、費用の支出先等を記載した書類を添付することが適用要件ですので、企業内で教育訓練費の書類整備や報告制度を徹底する必要があります。

�� 外部研修参加費用
　 外部の研修に参加する場合は、使用人のみが対象ですので、役員等については明確に区分しておく必要があります。
　 　
�� 外部講師を招いた場合
　 外部講師を招いて役貝と社員が一緒に研修した場合には、役員部分は対象にならないため、合理的に按分する必要があります。
　 　
�� 使用人の範囲
　 対象となる「使用人」には、正社員(試用期間含む)以外に、契約社員、パート・アルバイト、請負社員、派遣社員等も入ります。
　 　
�� 該当しない間接費用
教育訓練期間中の人件費、研修等開催場所までの交通費・旅費、社内研修施設の減価償却費等間接的なものは除外されているので注意が必要です。