病医院の資金繰り改善対策 -　医療・福祉経営改善ナビ

（１）担保余力とは
一般的に担保余力とは、担保の目的物の評価額と、担保設定額または被担保債権額との差額をいいます。担保評価額が借入金額を上回っている場合は、債務者はさらにその目的物を他の借入れのための担保とすることができ、この評価額と借入金額との差額が担保余力となります。病医院の担保余力がいくらとなっているのかを知ることは、資金繰りを検討する上で重要となりますので、定期的に分析を行うことがポイントとなります。

（２）担保余力分析により借入可能金額を算出する
担保余力分析は、担保物権の評価を算出することから始めます。担保物権のうち、最も一般的である土地を例に挙げて解説します。

【担保評価額の計算～路線価格をベースに算出する場合】

①土地の面積を算出　　例）1,000坪

②路線価格を調査　　　例）50千円/㎡

路線価とは、道路（路線）ごとに国税局長が決定した土地（１㎡）の単価をいいます。
毎年１月１日を評価時点として、地価公示価格、売買実例価額および不動産鑑定士など専門家の意見価格などを基に、公示価格と同水準の価格の８割程度により評価された土地の単価が路線価です。路線価は、国税庁のホームページで閲覧することができます。

③路線価格方式での評価額　例）1,000坪×300千円×3.3＝165,000千円

まず、病医院の担保提供している土地の時価評価は165,000千円と判明しました。路線価格がわからない場合は、不動産会社に実際の売却価格を確認する方法もあります。
次に、この土地を担保として提供しているＡ銀行の借入残高を確認します。

【担保余力分析～路線価格をベースに算出する場合】

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担保余力があるケース

①A銀行の借入金残高	100,000千円
②土地の評価額	165,000千円	（A銀行の担保カバー率は100％）
③担保余力	65,000千円

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担保余力がないケース

①A銀行の借入金残高	200,000千円
②土地の評価額	165,000千円	（A銀行の担保カバー率は82.5％）
③担保余力	0千円	（マイナス35,000千円）

（３）担保余力分析の留意ポイント
上記のケースでは、担保カバー率が100パーセントであるため余力が生じますが、逆に、担保カバー率が100パーセントに達していない場合は、新規資金調達の可能性はありませんし、A銀行から追加担保設定を要請されるはずです。
そこで、下記の視点から課題を抽出することが求められます。

● 担保カバー率100パーセント以下の借入がないか
● 借入が必要な新規投資はあるか
● 各借入金別に対応策を検討

収益力のみで資金調達する場合は、よほどの実績がなければ難しいと思われます。
新規投資を行う場合は、実現可能な事業計画の提出によって、病医院の将来性を見込んでもらうことが重要ですが、まずは保証協会枠で調達が可能かどうかを検討しましょう。