（１）銀行格付分析を活用して銀行とうまく付き合う
銀行からの信用力を高め、いかにスムーズに融資が受けられるか。
病医院の資金繰りにとって、銀行とうまく付き合うことは、非常に重要なポイントのひとつです。銀行は、借入を行っている病医院を格付けしています。そこで、本章では銀行がどのような視点で病医院を格付けしているかについて解説します。
銀行が病医院に対してどのような貸出方針をとっているかを理解することにより、銀行の信用度は低いのか高いのか、低い場合どの指標を改善すればよいのか等を検討します。

（２）銀行格付分析＝「債務者査定表」を理解する
金融機関は各病医院を査定し、貸出方針を決定しています。その貸出方針とは、一般的に下記のようにランク分けされています。貸出実行が可能なのはＣまで、Ｄ以下は貸増しが困難な先となります。この査定表に基づき、自院の方針を分析してみましょう。

【貸出方針の基準】

　�� 格付けの評価ポイント
　 貸出方針は、各種分析結果による評価ポイントの合計点で決定します。このポイントの算出方法は、定量的な分析と定性的な分析に分かれています。
定量的な分析とは、過去３期分の実績をもとに行なう財務分析を中心としており、一方定性的分析は、経営者の実力や技術力、成長性等を中心に査定を行なうのが一般的です。
金融機関の査定表モデルを参考として、どのようなポイントで査定されるのかを以下に解説します。
　 　
　 【格付　債務者スコアリングシート】
　 ＜評定ポイント　1：定量的要素　70点配分＞
　 イ）安全性項目　35点
　
　 　
　 ロ）収益性項目　20点
　
　 　
　 ハ）返済能力項目　15点
　
　 　
　 ＜評定ポイント　２…定性的要素　30点配分＞
　
　 　
　�� 定量分析、各指標の計算方法
　 定量的分析項目の計算式については、以下の一覧のとおりです。
実際に３期分の決算書を用意して入力し、自院の格付けがどういう状況なのか算定してみましょう。
　 　
　 【査定で用いられる各指標の計算方法】
　

（３）銀行格付分析の留意点
各ポイントの配分については、安全性の自己資本比率に20ポイント、総資本経常利益率・売上高経常利益率が各10ポイントと重点的に配分されているのがわかります。銀行とうまく付き合うためには、これらの指標をいかに高く保つかが重要となります。
また、定性的要素では、経営者・経営方針はもちろん、市場動向や競争力、事業の永続性がポイントとなります。また、業歴や出資者、職員のモラルを指標にする金融機関もありますので、どのポイントがマイナスとなるのか課題を整理することがポイントです。