（１）特定医療法人の特徴
特定医療法人とは、「租税特別措置法に基づく財団又は持分の定めのない社団の医療法人であって、その事業が医療の普及及び向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与し、かつ、公的に運営されていることにつき国税庁長官の承認を受けたもの」（厚生労働省ホームページ掲載「特定医療法人制度の概要」より引用）と規定されています。
制度の歴史は古く、昭和39年に創設されたものの、当初は２年間の時限措置とされていましたが、現在まで存続しています。
主な特徴は下記のとおりです。

【特定医療法人の主な特徴】
�� 特定医療法人として承認された場合は、法人税において22％（通常は30％）の軽減税率が適用されること
�� 国税局の訪問調査があること
�� 厳格な承認基準があること
�� 決算終了後３ヶ月以内に報告書を提出すること
特定医療法人として承認を受けることができる法人は、財団である医療法人（財団医療法人）又は社団である医療法人で持分の定めのないもの（持分の定めのない社団医療法人）に限られます。

■医療法改正後の体系
特定医療法人制度は医療法上に定められた法人類型ではありません。
租税特別措置法に根拠を置き、税務上の制度であり、税制面で優遇措置を手当された法人です。
一般の医療法人および社会医療法人との相違点は、次のように整理されます。

　 医療法人 社会医療法人 特定医療法人
根拠法 医療法 医療法 租税特別措置法
認可・承認 都道府県知事 都道府県知事 国税庁長官
要件
● 役員数
理事3人
監事1人以上
● 役員数
　 理事6人
監事2人以上　
同族割合3分の1以下
● ｢救急医療等確保事業｣を実施
● 自由診療制限
● 役員報酬支給基準
● 特別の経済的利益なし
● 遊休財産
等を満たすもの
● 役員数
　 理事6人
評議員12人以上
監事2人以上
同族割合3分の1以下
● 差額ベッド30％以下
● 自由診療制限
● 給与（年間3,600万円以下）
● 特別の経済的利益なし
等を満たすもの
収益業務 できない できる できない
法人税率 30％ 非課税（収益・附帯　22％） 22％