事前に、相続人代表者と目される相続人に電話等で調査の日時について打診があります。
税理士の立会いを求める場合には、日程の調整も必要になりますので、調査日時については即答を避け、税理士と相談の上、後日回答するようにします。
（１） 通常は２人以上の調査官が指定の日時に来訪します。無記名債券、多額の現金、や貴金属類が発見された場合の証拠能力を維持するために、複数の調査官で調査を進めます。
 
（２） 身分証明書を提示し、お悔やみを述べた上で、まず、「ご焼香させてください」と仏壇のある部屋への案内を願い出ます。これは、ほとんどの場合は仏壇や仏間を見るためであり、そこに書画や骨董が飾られていないか、仏壇や仏具はどの程度のものかを注意深く見ていきます。
 
（３） その後、世間話などを交えながらさり気なく相続人に質問を始めます。どのような質問が行われるかについては、次の項で触れます。
 
（４） 相続人代表の人に、被相続人の経歴や趣味などを便箋などに記載してもらいます。これは、相続人の中で、被相続人の財産を管理していたと思われる相続人の筆跡を取っておき、被相続人の預金等の入出金伝票や重要取引書類の筆跡突合などに役立てます。
 
（５） 室内の状況をさり気なく観察し、銀行や証券会社の名前の入ったカレンダーやタオルなどがないかをチェックします。また、トイレを借りるふりをして同様に室内を観察します。申告していない金融機関のカレンダーあったことにより、隠し預金が見つかることもあります。
 
（６） 不動産の権利書・預金通帳・印鑑その他重要書類等の保管場所を確認し、それが金庫の中に保管されている場合には、その場所に調査官も同行し、相続人に金庫を開けさせて中を調べます。
金庫の中には、財産に関するメモなど調査に欠かせない資料が多く残っていることがあります。調査官が勝手に金庫の中をかき回したりはしませんが、相続人に任意に提示するよう粘り強く説得します。
 
（７） 印鑑は便箋などに一旦空押しして陰影が写るかどうか確認した後に、朱肉をつけてすべての印鑑の陰影を取って持ち帰ります。
印鑑の空押しで陰影が写る場合は、最近使用したと推定できます。持ち帰った陰影については、名義預金等の判定を行う際の材料となります。
 
（８） 香典帳、住所録、年賀状、電話帳、日記帳等、その他のメモ類があれば、それらを確認します。
郵便貯金等の申告がないのに、電話帳に郵便局の電話番号と担当者名が記載されていたりすると申告漏れではないかと推定します。年賀状なども申告漏れの金融機関をチェックする資料となります。
 
（９） 事前に把握している貸金庫の利用の有無を確認し、その日のうちにその金融機関に赴き、相続人に貸金庫を開けてもらい中を確認します。
 
（10） 事前に税務署内で調査した項目の中で実地に確認すべき事項について、質問及び証拠書類の確認を行います。