製品ごとのコストを計算する手続を、製品別原価計算といいます。製品別に原価を集計する方法には、大きく分けて以下の2つになります。

個別原価計算              総合原価計算

個別原価計算
製品ごと、あるいはプロジェクトごとにコストを直接集計する方法です。これは船舶、車両、航空機、工作機械などのように、顧客から個別に受注する生産形態の場合に適用されます。

総合原価計算
特定の製品ではなく、会計システムより集計した一定期間(1ヵ月)に発生した製造コストを把握し、仕掛品原価を加減して完成品原価を作成する方法です。


総合原価計算は、大量に同一製品を反復生産する場合に適用されます。個別原価計算と総合原価計算は同じように見えますが、両者は全く異なる計算体系です。
一番の違いは、個別原価計算は製品ごとに製品原価を集計する方法ですが、総合原価計算は一定期間(月間)の発生原価に在庫を加減して月間の製品原価合計を計算する方法です。ここでは個別の製品原価は計算されません。 つまり、総合原価計算は正確な意味で製品別原価計算ではありません。

製品原価の原価構造は、直接材料費と外注費、製造間接費です。製造間接費は製品別に直接跡付けることができないため、作業時間などを基準にして配賦されたものです。もし、製造間接費が作業時間とは別の原因で発生するとしたら、製品原価は歪んでしまいます。例えば、無人工場の機械装置の維持管理を行う生産技術部門や生産手配を行う生産管理部門、あるいは経理部門のコストは作業時間とは全く連動していません。この不合理を取り除くために、それらの活動量を基準として製品原価を計算する方法が発明されました。これがABC(活動基準原価計算)です。




上図より、製品1,000個を製造するオーダーをそれぞれ#101、#102、#103とします。#101は、前月に生産着手して当月完成しました。#102は、当月着手して当月完成、#103は、当月着手して当月末の仕掛りとします。
製造オーダー別原価計算とは、#101、#102、#103の原価を直接計算する方式です。#101、#102が完成したときに製品原価9,000円と1万5,000円は確定し、仕掛品勘定から製品勘定に振り替えます。製品1個あたりの原価は#101が9円、#102が15円となります。月末現在未完成の#103に集計された7,000円が仕掛品金額です。

一方、総合原価計算は、当月発生コスト3万円に前月末仕掛品1,000円を加え、月末仕掛品7,000円を差し引いて完成品原価2万4,000円は#101と#102の合計額でしかわからないので月間の平均単価(2万4,000円÷2,000個=12円)の計算にとどまります。


総合原価計算には、以下のような問題点を抱えています。
複数の製品を製造している場合、製品単価はそれらの平均単価になってしまう。
月末仕掛品評価計算が面倒で不正確である。しかも、この評価いかんで製品原価は大きく変わってしまう。
完成品原価は発生原価から仕掛品原価を差し引いて求める。したがって、製品原価の発生源にさかのぼるのは理論的に不可能。

つまり、総合原価計算は部門別原価計算の延長にすぎず、正しい個別原価は分からないのです。