相続Q&A
Q 相続税はどのくらい財産があるとかかるのか知りたい
A 相続税の基礎控除
3,000万円+(600万円×法定相続人)
平成27年の税制改正で、相続税が改正されました。この改正により、従来申告納税の必要がなかった相続についても相続税が課され、税率もアップしました。
- 法定相続人が2人(妻・子)の場合の事例
- 3,000万円+(600万円×2)=4,200万円
上記事例の場合、相続財産が4,200万円以上の場合、相続税が課されることになります。
Q 相続手続きの流れについて知りたい
A 相続税の申告のためには相続人の確認、遺言の有無、遺産と債務の確認、遺産の評価、遺産の分割等の手続きが必要です。
- (1)相続人の確認
被相続人と相続人の本籍地から戸籍謄本を取り寄せて相続人を確認します。 - (2)遺言書の有無の確認
遺言書があれば家庭裁判所で検認を受けます。ただし、公正証書による遺言は検認を受ける必要はありません。 - (3)遺産と債務の確認
遺産と債務を調べてその目録や一覧表を作っておきます。また、葬式費用も遺産額から差し引くことができます。 - (4)遺産の評価
遺産の評価については、相続税法と財産評価基本通達により評価します。 - (5)遺産の分割
相続人全員で遺産の分割協議を行い、分割協議が成立した場合には、遺産分割協議書を作成してください。また、期限までに分割できなかったときは法定相続分で相続財産をもらったものとして相続税の申告をすることになります。
- 申告と納税
- 相続税の申告と納税は、被相続人が死亡した日の翌日から10ヶ月以内に行うことになっています。また、申告書の提出先、納税先はいずれも被相続人の住所地を所轄する税務署です。相続人の住所地ではありません。
Q 法定相続人について教えてほしい
A 法定相続人は、配偶者、直系卑属、直系尊属、及び兄弟姉妹
- 第1順位 …… 子供(及び代襲相続人)
- その子供が既に死亡している時は、その子供の直系卑属(子供や孫など)が相続人となります。実子はもちろん養子も含まれます。また婚姻していない者との間に生まれた子は、父親が認知していれば父親の相続人となります。「胎児」(出生すれば相続人になれる胎内の子)については、民法はすでに生まれている子と同様に扱うことにしています。なお、その胎児が死んで生まれた場合にはその相続はなかったものとします。
- 第2順位 …… 直系尊属(父母や祖父母など)
- 父母も祖父母もいるときは、近い世代である父母の方を優先。第2順位の人は、第1順位の人がいない時、相続人となります。祖父母は父母が死亡している時に相続人となります。
- 第3順位 …… 兄弟姉妹
- 父母その兄弟姉妹が既に死亡している時は、その人の子供。第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいない時に相続人となります。
- 内縁の配偶者の相続権
- 相続権がある配偶者は、婚姻届を出されている正式な配偶者に限られます。内縁関係の人は相続人となることはできません。
- 養子、非嫡出子の相続権
- 養子及び非嫡出子についても、第1順位の相続人となります。
Q 遺言書の書き方について知りたい
A 遺言書を作成するポイント
- 自分の意思を明確に伝え、家族に理解される遺言であること
- どのような遺産の分け方が最良なのか、答えは1つではないでしょう。周りの意見は参考にしても、振りまわされるのはよくありません。
- トラブルを生じさせない遺言であること
- トラブルを防ぐための遺言であるにもかかわらず、実際のところ遺言が紛争の火種となるケースが少なくありません。
- 法的に有効な遺言であること
- せっかくの遺言でも、遺言として認められなければ意味がありません。
- 遺言執行者を指定しておくこと
- 遺産処理に関する遺言の場合、相続人の利害関係が交錯してスムーズに相続が進まないことがあります。また、遺言の内容によっては専門的な知識や経験が必要となるケースもあります。
- 付言項目を必ず付け加えること
- 法定相続分と異なる相続分を指定する場合には、なぜそのようにしたのかという「付言事項」を付け加えることが、後に相続人同士がもめないためにも有効です。遺言の内容として法律的に意味があるわけではありませんが、遺族の円満な関係を切に希望する旨が遺言者の生の言葉で綴られていた場合、相続人同士の争いを防止する効果が期待できます。
Q 遺産相続の遺留分について教えてほしい
A 遺留分とは被相続人の兄弟姉妹以外の相続人に対して留保された相続財産の割合の事です
本来、自らの財産を誰にどのようにあげるのかは自由なはずですが、民法では遺族の生活の安定や最低限度の相続人の公平性を確保するために、兄弟姉妹以外の相続人に最低限の相続の権利を保証しています。これを「遺留分」といいます。
被相続人による財産の処分によって遺留分を侵害された相続人は、遺留分の額以上の財産を取得した相続人に対して、財産の変換を請求することができます。これが「遺留分減殺請求権」です。
Q 遺産の分け方について教えてほしい
A 遺産の分け方は3種類あります
- 遺言による分割
- ※遺留分の注意が必要
- 遺産分割協議書による分割
- ※全員で協議して作成。1人でも反対者がいると成立しない。
- 民法の法定相続分での分割
Q 相続時精算課税制度について教えてほしい
A 高齢者の資産をスムーズに次の世代に渡すために設けられた制度です
この制度は、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納め、その贈与者が亡くなった時にその贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めたその贈与税相当額を控除することにより贈与税・相続税を通じた納税を行うものです。
贈与者は60歳以上の親、受贈者は贈与者の推定相続人である20歳以上の子または孫とされています(年齢は贈与の年の1月1日現在のもの)。